
『うそだあ!』【今日の絵本だより 第42回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
 こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『うそだあ!』
 サトシン/作 山村浩二/絵 文溪堂 本体1300円+税
今日はエイプリルフール。
 一年に一度の、うそをついても怒られない日。
 発売中のkodomoe4月号本誌「季節の絵本ノート」でも、「うそ」にちなんだ絵本を5冊紹介していますが、その中から1冊ピックアップ。
 『うそだあ!』をご紹介します。
表紙には、いたずらそうな目をした男の子ふたり。
 片方の子が語りかけます。
 「このあいだの はなしなんだけどね。
  おなかが すいて バナナを たべようと おもったんだ。
  バナナのかわを むいてみたら、」
 もう片方の子が、
 「うんうん」
 ページをめくると……
 「チョコバナナだったんだ!」
 「うそだあ!」
のどが乾いたら、おうちの蛇口からジュース。
 飲み過ぎて、おなかがまんまるにぱんぱん。
 するとおへそがとれて、ジュースがぴゅーっ!
 その勢いで、ロケットみたいに空に飛んでいって……。
 びっくり奇想天外なお話は、どんどん続きます。
 軽快なテンポは心地よく、スケールは壮大!
 まるで現代落語みたい。
 最後まで愉快なホラ話? かと思ったら……。
 あっと言わせるラストに、思わず大人も
 「うそだあ!」
ところで、子どもに絵本を読んでいると、大人だけ頑張っているような気になること、ありませんか?
 読んでいてもあまり興味がなさそう、「ちゃんと聞いてる?」なんて、空回りしたり。
 そんなときにはこの絵本で、「うそだあ!」のセリフを、お子さんに担当してもらいましょう。
 ずっと「うそだあ!」だけなので、字の読めないお子さんでも大丈夫。
 ツッコミ役は大人になったみたいで楽しいし、自分が読み手になることで、ぐんと絵本の世界に入り込めるはず。
 お友だちが集まったときやおはなし会など、大勢のお子さんがいる場所なら、たくさんの「うそだあ!」で、さらにもりあがりそう。
読み聞かせは、大人も子どもも、お互い無理をしないことが大事。
 「なんだか今日は疲れちゃったな」というときも、気楽に読める絵本が手元にあると、心が軽くなりますよ。
(これはうそではありません。)
選書・文 原陽子さん
 はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。



































