花粉に負けない体づくり【前編】花粉症の子どもが避けたい3つのポイント
そろそろ花粉症の季節到来。実は子どもの花粉症が増えているって知っていますか?
できるだけ発症リスクや症状を抑えるために、毎日できることがあります。
キーワードは「腸」です!
イラスト/nanako 編集協力/藤沢あかり
こんな生活習慣、心当たりありませんか?
- 朝ごはんはジャムトーストだけ
- 毎日、布団に入るのが20時を過ぎている
- 野菜が苦手
くしゃみ、鼻水、鼻づまり。
花粉症などの鼻アレルギー症状に悩む子どもが増えています。こんな3つの生活習慣にあてはまったら、要注意! どれも子どもにとってはあるあるですが、実は症状をひどくさせているのかもしれません……!?
今シーズンは、昨夏の猛暑の影響で、花粉の飛散量も増加傾向。
症状がではじめるのは2月下旬頃からが一般的ですが、温暖化により年々飛散時期は早まる傾向が。そう、対策は早めが肝心です!
薬だけに頼らず、まずは毎日の生活習慣を見直してみませんか?
花粉症の症状はもちろん、発症リスクを抑えるために今すぐできることを、小児科医の伊藤明子先生に伺いました。
免疫力をアップする、「早寝、早起き、朝ごはん」!
子どもの花粉症をできるだけ抑えるには、毎日の生活習慣が大きなカギ。
まずはしっかりとした睡眠と、栄養バランスのとれた朝ごはんを摂りましょう。私たちの体は、夜、眠っている間に成長ホルモン、修復ホルモンが分泌されます。ただ眠ればいいというわけではなく、未就学時の子どもなら20時には布団に入り、10〜12時間は眠ることが大切です。
そして朝ごはんは、腸が喜ぶ栄養成分とタンパク質がしっかり摂れるものを心がけて。
子ども茶碗に軽く一杯の雑穀米、具だくさんの味噌汁、卵料理、魚、野菜のおかず。腸が喜ぶ栄養成分を含む発酵食品と、食物繊維とタンパク質を摂りやすいメニューに整えましょう。
朝のタンパク質は、一日の活動を支えるだけでなく、病原菌と戦う「抗体」を作るのにも欠かせない栄養素です。
では「腸が喜ぶ栄養成分」とは? ここに、花粉症対策には欠かせない大きなポイントが隠れていました!
花粉に負けない体づくり。トレンドは、「腸」から治す!
今、花粉症に限らず“アレルギーは『腸から治す』”というのが世界的なトレンド。
人間の体に入り込んだ菌やウイルスと闘うための免疫の仕事のおよそ6割が腸管で行われているのです。
腸の健康が、花粉症はもちろん、あらゆる病気と闘う力を強くしてくれます。
腸を健康に保つアプローチは、主なものとして大きく二つがあります。
- 善玉菌をたくさん取り入れる
- 善玉菌のエサとなる食物繊維をたくさん取り入れる
「腸内フローラ」という言葉を聞いたことはありませんか?
腸内の細菌を顕微鏡で拡大すると、さまざまな菌がまるで花畑のように群生する様子から、そう呼ばれるようになりました。
腸内フローラでは、たくさんの花(菌)を咲かせることが大切です。
例えるなら、一面のラベンダー畑ではなく(もちろんこれも、とてもきれいですが!)、多種多様な草花が咲き誇るイングリッシュガーデン!
そのためには、「善玉菌」をきちんと摂って腸内フローラを整えることがポイントです!
善玉菌と、エサの「食物繊維」で腸内を健康に!
善玉菌をとる、というと一番手軽なのはヨーグルトかもしれません。
そのほか、味噌や醤油、納豆などの日本古来の発酵食品もありますし、キムチやすぐき漬け、キャベツを発酵させたドイツのザワークラウトなども、乳酸発酵の食品です。
一方、「善玉菌」のエサとなり、活動を活発にしてくれるのが「食物繊維」。
もち麦やひえ、あわなどをブレンドした雑穀米や、昆布、わかめなどの海藻類、きのこ、そして野菜など、こちらもいろんな種類をバランス良く摂りたいものです。
体に良いとされる善玉菌ですが、もしエサがなかったら?
なんと、お腹を空かせた善玉菌たちが食べてしまうのは腸壁の一部、私たちの体です。腸壁が傷つくと、体内に有害な物質がどんどん入ってきてしまい、不調の原因となってしまうことが指摘されています。
まずはたっぷりの睡眠。そして多様な善玉菌。さらに、善玉菌のエサになる食物繊維がしっかりと摂れる朝ごはん。
この「早寝、早起き、朝ごはん」の習慣が、花粉に負けない強い体を育んでくれるのです。
といっても、食べムラや小食など、子どもは毎日しっかりと食べるのが難しいこともありますよね。子どもでも食べやすいヨーグルトをプラスすることで、腸によい善玉菌、そしてタンパク質を効率良く摂取できそうです。
後編では、花粉症に効果があるとトレンドになっている柑橘のじゃばらと、ヨーグルトに合わせた花粉症最強レシピをご紹介。食育インストラクターとしても活躍する、料理家のtottoさんが、かわいくおいしくアレンジしてくれます。
伊藤明子先生
いとうみつこ/NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。
小児科医・MPH(公衆衛生専門職)、