つい子どもを質問攻めにしちゃうママに。自然に子どもが話したくなる”色育”
言葉で説明できなくても、子どもは色を選ぶことならできる
子どもに園や学校でのことをたずねても、「忘れた」「わかんない」と返ってきて、
もやもやしているママも多いと思います。
友達と喧嘩したって聞いたけど、気にしてないのかな、落ち込んでるのかな、
でもあれこれ質問攻めにすると、黙ってしまうし…。
そんなときに、「気持ちの色」をたずねてみるといいですよ、というのは、
色育のインストラクター資格を持つ小泉千亜紀さん。
「うちの長男も、そうでした。
言葉で説明できないから、替わりにこちらが、今日は何色?とたずねるんです。
そうすると、今日は…茶色かな。嫌なことがあったから、って。
そこから、どうしたの?と聞いていくと、意外と話してくれるんですよね。
子どもも、色なら、なんとなく選ぶことができます。
色には「さみしい」「楽しい」のようないろいろな意味合いがあるので、
そこから相手の気持ちを察してあげることができるんです。
色の意味を知らなくても、赤だと元気そう、青だと静か、など
感じることもできます」
小泉さんは色育の講座を開いていて、
講座では、まず色の効果を知ってもらうために、
いまの気分は何色か、と考えるところから始めています。
たとえばグリーンを選んだ人には
「この色は調和とか、まわりとうまくやっていきたい気持ちとか、
人とのバランスを取るとか、そういう意味合いがあるんです。
思い当たることはありますか?」
とたずねます。
そう聞かれると、大人もいまの気持ちを吐露しやすく、
自分の中で悩みが整理されやすいのだそうです。
色の絵本やぬりえで、子どもとのコミュニケーションを
子どもと「色」で対話する方法として、ほかにも、絵本やぬりえがあります。
子どもの気持ちを確認したり、こちらの気持ちを伝える手段になってくれるものです。
色育の中では、「ぎゅっとくん」というキャラクターを
子どもに好きな色で塗ってもらっていました。
どんな気持ちでその色にしたのかを、子どもにたずねてみると
「うれしいと赤くなる」とか「この黄色はポジティブな気持ち」といった言葉が
飛び出しました。
その絵を包み込むように、ママが色を塗って返すのですが
「この色は、守ってあげたい気持ち」などと説明すると、
自分が愛情で包まれていることを感じて、嬉しそうにしていました。
ぬりえといっても、こうしなきゃいけないというルールはなくて、
「一緒にぬりえをしようか」というだけでも、子どもが落ち着いて集中し、
そこから会話が始まるということが大事なのです。
絵本も「色はみんな違って、みんないい」というメッセージがこめられていて、
子どもと対話しながら進む物語になっていました。
色育では、想像力、集中力、コミュニケーション力を育てることを目的にしています。
「講座で色のイメージはお伝えしますが、子どもの気持ちを色で決めつけて終わらずに、
やりとりすることが大切になってきます。
子どもに手をかけられないときでも、5分、10分ぬりえをして話をするだけで、
ママとの密度が濃くなるんです。
それだけで、子どもの心が満足します。
いまは忙しいママが多いので、なかなか愛情をかけてあげる時間がないと悩む方にも、
ぜひ試してみてほしいですね」と小泉さん。
今回、色育講座を受けて興味深いと思ったのは、
表面の言葉とは違った潜在意識に気づかせてくれることです。
「下の子に手がかかるから、上の子はしっかりやってくれて助かるわ」と思っていても
上の子がさびしいと感じさせるような色を選んだりすると、はっとさせられます。
語彙や表現力がまだ乏しい子どもだからこそ、
大人の側から気持ちに気づいてあげられる、ひとつのツールになるといいですね。
■日本色育推進会 https://www.iroiku.com/
■小泉千亜紀/こいずみちあき カラーセラピスト・色育シニアインストラクター。Felice Luce主宰。保育園や小学校での色育講座も行っている。子育てに役立つ色彩心理体験講座など、ワークショップも不定期で開催中。https://ameblo.jp/feliceluce-happycolor/
取材・文=日下淳子(編集ライター/元保育士)