2026年1月7日

色鉛筆の繊細&濃密なタッチには幼少期から片鱗が? 夢眠ねむさんと、「コドモエのずかん」シリーズが大人気の大森裕子さんが対談。【夢眠ねむの絵本作家に会いたい!・6】

 

撮影用に持参してくれた、最新刊『どーーーぞ!』(白泉社)の原画と、愛用のホルベイン『アーチスト色鉛筆150色』の一部。深みのある色や質感を表現するのに欠かせないそう。

子どもを寝かしつけてから徹夜作業も

夢眠 じゃあ、最初はご自分で考えたキャラクターのお話でデビューされて。
そうしたストーリー絵本も描きながら、「ずかん」シリーズを始めたきっかけというのは?

大森 『へんなかお』(白泉社)を描いた後、担当の編集者さんにこのアルバムを見せたんですよね。地方のトークショーで資料として見せるために持って行っていて、飛行機の待ち時間で。それを担当さんがよく覚えてくれていて、『なにからできているでしょーか?』(白泉社)を依頼されたんです。それが食べものを写実的に描いた初めての絵本で、そこから「ずかん」シリーズにつながっていきました。

夢眠 「うますぎない?」みたいな。でも、きっかけが5歳のときの絵なの、すごすぎませんか(笑)?
そうそう、『なにからできているでしょーか?』も、夢眠書店でたくさん仕入れさせていただきました。

大森 ありがとうございます。

夢眠 ラーメンの材料のひとつひとつ、麺の一本ずつまですべて並べていますけど、こういうのは苦にならないですか。「なんで私、麺を並べてんだろ?」みたいに。

大森 あ、たまに思うけど(笑)。でもこれは全然苦にならないです。むしろにやけながらやってます。
これを描いていた頃は、まだ次男が保育園だったけど、ラーメンがすごい好きで。
原画を徹夜で描き上げなきゃいけなくて、深夜作業に備えて材料は全部用意して、ほうれん草とかは日中にゆでてラップして冷蔵庫に入れてたんです。

夢眠 ゆで卵とか。

大森 そうそう。で、次男を寝かしつけて、「絶対に起きるなよ」と思いながら、ダーッてすごい勢いでスープとか作って。

夢眠 でも、匂いがするよなあ。

大森 すっごいいい匂いがしちゃったんですよ。で、隣の部屋で寝てるので。

夢眠 「ママ、なにしてんのぉ~」ってなる!?

大森 そう、次男が来ないように、「絶対に起きるなよ」って、強く願いながら描きました。同じ絵本にパフェも出てくるんですけど、そのパフェも実際に作って、撮影した後に急いで食べてから、長男の授業参観に行ったら、おなかが痛くなった記憶があります(笑)。
もうね、子どもたちはすっかり大きくなっちゃったんですけど。

2014年に発売された、身近な食べ物が何をもとに出来ているのかを、たんねんに、かつとってもおいしそうに描いたユニークな発想の絵本。『なにからできているでしょーか?』 大森裕子/作 白泉社 1100円

大人も楽しめる「ずかん」シリーズ

夢眠 一番子育てが大変な時期に、いろんな思い出が重なって。
それで『なにからできているでしょーか?』とかアルバムの絵をきっかけにして「ずかん」シリーズが。

大森 そう、生まれました。でも、最初はほぼノープランでした。担当さんから「大森さんと小さい子向けの図鑑を作りたい、内容は全部おまかせします」って言われて。

夢眠 しかも最初が『おすしのずかん』? 

大森 そう、「おすし」です。

夢眠 『おすしのずかん』、図鑑だけど魚の解説が「何メートル」とかじゃなくて、まぐろなら「1ぴきで、10000こ いじょうの おすしが できるほど おおきい」とか。おすしに換算してるのが楽しいですよね。
夢眠書店では、多分オープンしてから一番売れている絵本が『おすしのずかん』です。おすしって結構モチーフとしても人気で、おもちゃもあったりしますし。でもこれはやっぱりママとパパが「ほしい」って言ってよく買ってくれました。子どもももちろん好きなんですけど、ママパパ人気が特にすごいなっていう。

大森 ありがとうございます。元々おすしは好きだけど、ネタと魚の姿が一致しない自分のためにこれを描いたというところもあるので、同じような大人の人にも喜んでもらえるとしたらうれしいです。

夢眠 これからも「ずかん」シリーズの新刊、楽しみにしています。
『やさいのずかん』とか、ぜひ描いてください!

夢眠ねむ
ゆめみねむ/2019年、下北沢に予約制の書店「夢眠書店」をオープン。U-NEXT kids「ねむるま えほん」の企画監修・選書を担当。著書に『本の本』(新潮社)『夢眠書店の絵本棚』(ソウ・スウィート・パブリッシング)など。一児の母。

Web:https://yumemibooks.com/
X:@yumeminemu
Instagram:@yumemibooks

大森裕子
おおもりひろこ/1974年神奈川県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。「コドモエのずかん」シリーズをこれまでに8冊刊行、MOE絵本屋さん大賞入賞など受賞多数。最新刊『どーーーぞ!』(白泉社)も発売中。大学生と高校生の男の子のママ。

『どーーーぞ!』
大森裕子/作 さかもとにこ/原案 白泉社 1980円

kodomoe編集部開催、「しかけえほんアイデアコンテスト」のグランプリ受賞作を、大森裕子さんが「のび~る」蛇腹しかけ絵本に! おだんごやおでん、ハンバーガーを上に引っ張ると、目の前に現れたのは……?

Web: https://iri-seba.com
X:@omorihiroko
Instagram:@hiroko.omori.ehon

撮影/大森忠明 ヘアメイク/光野ひとみ 取材・文/原陽子 編集協力/田所佐月

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