2025年9月5日

みんな大好き、あの赤ちゃん絵本が生まれるアトリエへ。夢眠ねむさんが、とよたかずひこさんと対談。【夢眠ねむの絵本作家に会いたい!・4】

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本棚には、懐かしい図鑑がずらり

夢眠 とよたさんの本棚のこの本の差し方が、私とまったく一緒です。本の上の空いている隙間にも、こうやって本を横にして入れますよね。

とよた しょうがなく(笑)。で、本棚がゆがむと。怖くてね、もういじれない。
でも、何がどこに置いてあるかはわかります。

夢眠 私もまったく一緒です。家族には理解されないですが、自分ではこれが一番正しいんですよね。

とよた そう。新しい資料を用意しても、ずっと本棚に並んでいる古い図鑑の方が結局使えるという感じで、ああ、あのページにあの絵描いてあったよな、と。
でも、動物とかはそう変わらないだろうと思っていたけど、そうでもないんだな(笑)。
研究されて新しい情報がネット上に出てきて、固定電話とFAXしかない爺ちゃん作家は混乱しています。SNSを使えないから、指くわえてボー然としています。

夢眠 もう、使わなくていい気がします。なんか検索し始めるとそればっかりになって、調べすぎちゃいそう。

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夢眠書店の目利きは1歳児?

夢眠 私、自分は選ばない絵本も、本屋さんで息子が気に入ったものは改めて読んでみて、「確かにいいかもな」と仕入れてみると、売れるんですよ。
私は本当は「絵がいい」とかそういう理由で選びたいんですけど(笑)。
息子に折れているのがポリシーに反していて、悔しいんです。

とよた それはやっぱり、ねむさんがアーティストだからですよ。
多分それ、ちゃんと人気でしょ。

夢眠 売れるんですよ~。
でも私もプライドがあるので、「うちの息子は、これが好きです」とか言って(笑)。

とよた でもそれが、一番読者の胸に響くんじゃないですか。

夢眠 そう、1歳の口コミが一番売れるんですよ。親が好きな絵本と子が好きな絵本って、ちょっと違う。

とよた でもね、絵本ってそれだけバラエティに富んでるから、それもありですよ。
ねむさんはちゃんと本屋さんの立場で、両方から物事を見られているから、すごいですよ。
1歳のお子さんが書店で本を選べるということ自体、レベルが高いわけです。
その年齢では、普通はなじみのキャラクターものになっちゃうんですよ、どうしてもね。

夢眠 そう。だから私もすごい視野が広がりました。私がめっちゃ怖い絵本も、息子はわ~って盛り上がってたりするので。そうかぁ、怖くないんだって。

とよた そうやってお子さんが楽しんでいるのをねむお母さんが反芻して、今度はお客さんに見せるわけだ、改めて。
いろんなアンテナを張って活躍されていて、素晴らしい。

夢眠 いやいや、ありがとうございます。なんか、ほめられて感謝です。

紙芝居の魅力を発見!

夢眠 とよたさんのこれからの制作予定は、「おふろやさん」シリーズ、「おんぷちゃん」シリーズ(ひさかたチャイルド)、「ももんちゃん」シリーズ、「おいしいたべもの」シリーズ(童心社)、「ポッポーきかんしゃ」シリーズ(アリス館)。
とよたさん、仕事抱えすぎでは(笑)。

とよた それと「わらべうた」シリーズ(世界文化社)に、紙芝居。

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紙しばい『いたいの いたいの とんでいけ~』とよたかずひこ/脚本・絵 童心社 1540円

夢眠 紙芝居と言えば、私、絵本と勘違いしたと言ったら失礼なんですが、とよたさんの『いたいの いたいの とんでいけ~』(童心社)を先日仕入れて、「あぁっ、紙芝居だった!」って。
なのでお店の自由に読めるコーナーに置いていたら、今それが一番人気なんです。
私が暇そうにしていると、「ねむちゃーん」って子どもたちに呼ばれて。ずっとイカさんタコさんの紙芝居をやっています。7歳さんくらいだとみんな覚えて、もっとちっちゃい子たちに読んであげてくれて。

とよた 紙芝居って、あまり本屋さんでは見ませんよね。でも子どもたちに読んでみると、面白いんですよ~。

夢眠 いいなあ。紙芝居の裏側にちゃんと「半分までぬきながら」とか、指示のト書きがあるじゃないですか。あれもとよたさんが書いているんですか?

とよた 編集者と共同作業です。編集者の存在がとても大きい。

夢眠 イカさんタコさんと一緒に、みんなキャッキャッキャッてなって。
私はちょっと、紙芝居屋さんもやってみたいんです。昔ながらの、駄菓子で子どもたちを呼びこんで紙芝居を読むスタイル、あれをやってみたい。

とよた ねむさんなら、様になりますよ。紙芝居は演じていても楽しいし、なんといっても直に子どもの反応が見られて嬉しい。

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夢眠ねむ
ゆめみねむ/2019年、下北沢に予約制の書店「夢眠書店」をオープン。U-NEXTkids「ねむるま えほん」の企画監修・選書を担当。著書に『本の本』(新潮社)『夢眠書店の絵本棚』(ソウ・スウィート・パブリッシング)など。一児の母。

Web:https://yumemibooks.com/
X:@yumeminemu
Instagram:@yumemibooks

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とよたかずひこ
1947年宮城県生まれ。『どんどこ ももんちゃん』をはじめとする「ももんちゃん あそぼう」シリーズ、『おにぎりくんがね‥』をはじめとする「おいしいともだち」シリーズ、『おべんとうばこさんです。』をはじめとする「たのしいいちにち」シリーズ(すべて童心社)など、作品多数。

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『ゆたんぽさんです。』
とよたかずひこ/作・絵
童心社 990円

手編みのセーターで出かけるゆたんぽさん。「いらっしゃいませ~ ゆたんぽ ぽかぽか いかがですか~」。10月20日発売予定。

撮影/大森忠明 ヘアメイク/安藤千浪 編集協力/原陽子

 
 
 
 
 
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