
美しくておいしそうな木版画にうっとり。夢眠ねむさんが、彦坂木版工房さんと対談。【夢眠ねむの絵本作家に会いたい!・1】

ノラネコぐんだん新グッズ発売のおしらせ
「これからの本好きを育てる書店」を営む夢眠ねむさんが、憧れの作家さんを訪ねる新連載。
第1回は『パン どうぞ』『できあがり』など、本物以上においしそうな食べ物を木版画で描く夫婦ユニット・彦坂木版工房(彦坂有紀・もりといずみ)さんが登場です。
web版では子育てのお話、思い出の絵本のお話などを特別に公開します。
子どもとの暮らしの中から生まれた絵本
もりといずみさん(以下もりと) これ、僕が作を担当して、きくちちきさんが絵を描いた絵本、『おかおあらうの みーせて』なんですが。
『おかおあらうの みーせて』
もりといずみ/作 きくちちき/絵 講談社
ちょっと前まで、娘は顔を洗うのが苦手だったので、「お顔を洗うのって楽しいんだよ、気持ちいいんだよ」っていう絵本を作りたいなと思って。早速絵コンテを描いて講談社の担当さんに見せたら「とってもいいですね」となって、友人のきくちちきさんに「ぜひ絵をお願いします」って言って作ったんです。
いろんな動物が「おかお あらうの みーせて」って言われて、「ぱしゃ」って顔を洗っていく。そのお話の最後に、娘が出てくるんです。「できたー!」って。もう、全部ぬれちゃってますけどね。「あぁ きもち よかった」って。これを読んだら、娘はすぐ洗面所にかけていって、顔を洗ったんですよ。これは成功したなって。
夢眠ねむさん(以下夢眠) (本誌の記事で)絵本を作る中で、彦坂さんはパンの絵に「おいしそう」って共感してもらえたらそれで満足、というお話がありましたけど、今のお話を聞くともりとさんはもう、伝えたいメッセージがめっちゃあるんですね。
もりと そう、ありますね。
彦坂有紀さん(以下彦坂) あるんでしょうね。だって私、娘が顔を洗ってるのを見ても、何も思わなかったですもん。
夢眠 (笑)。なんかおふたりとも、いいご夫婦って感じで、いいですね。本屋をしていると、「歯磨きの本ありますか」とか「トイレの本ありますか」とか聞かれることも結構あって。でもこの本だと、しつけっぽくなくていいですね。
もりと 「みーせて」って問いかけているんですよね。楽しいから、すぐやってみたくなる。僕自身、この絵本ができたのはうれしかったですね。娘が生まれてからより絵本の解像度が上がって、絵本の作り方のヒントを生活の中で見つけられるようになって。なんか、しつけっぽい絵本って読む方も聞く方も窮屈で、それより、こういう楽しい切り口の絵本をどんどん作りたいなと思っていますね。
夜の読み聞かせ、どうしてる?
夢眠 お子さんには、よく読み聞かせをされていますか。
もりと もう5、6年、毎日してるよね。夜は必ず読みますし、昼間もね、幼稚園から帰ってきたら読んだりとか。
夢眠 私、夜の読み聞かせのタイミングが、いまいちよくわからなくて。まだ1歳ですけど、「寝ろー」ってミルクを飲ませてから、暗闇にすって置くんですけど、暗い中でブックライトみたいなのをつけて読むんですか。
彦坂 本当に赤ちゃんだった頃は、多分、日中に読んでいた気がします。まだ首もすわってないときから、遊びの1つで読んでいましたが、「わかるかな、この人に」って思いながら(笑)。
夢眠 私、今、「ねむるまえほん」っていう番組を担当してるんですけど、一体みんないつ絵本を読んでるんだろうと。夜は寝てからベッドに置くから、「読んでる間に寝たね」みたいなのが理想なんですけど、それが全然まだわからなくて。
彦坂 いつからだろう。でも、読んでる間にすーっと寝るってことないよね。
夢眠 夜の読み聞かせって、そういう描写が多くないですか。あ、寝ちゃった、みたいな。あれ、夢物語?
彦坂 幻想(笑)?
