2022年11月4日

「子育てのほとんどは、『まあいっか』で済ませたっていいと思う」。保育者の青山誠さんとだいすけお兄さんが対談。【だいすけお兄さんのパパシュギョー!・11(前編)】

だいすけお兄さんが、パパやママの代わりにさまざまなジャンルの専門家からお話を聞く「だいすけお兄さんのパパシュギョー!」。
第11回のゲストは、幼稚園や保育園で長年子どもたちの育ちを支え、その体験を講演や著書で発信している、保育者の青山誠さんです。青山さんが語る、子どもたちとのエピソードには、子育てのヒントがいっぱい。本誌だけでは伝えきれなかったお話を、webでご紹介します! まずは前編をどうぞ。

大声を出さなくたって、子どもは自然と集まる?

だいすけお兄さん(以下だいすけ) 子どもたちって大勢になればなるほど、「ワ~ッ」ってなっていきますよね。それがやっぱり子どもらしさだとは思うんですけど、それをまとめなきゃいけないような場面では、青山さんはどうされているんですか。

青山さん(以下青山) そうですね。あくまでも個人的な意見ですが、「子どもをよく知る」っていうことに尽きるのかな、と思っていて。
子どもたちって、大体45分から55分くらいで「いっぱい遊んだ」って感じるんですね。だから遊び始めて30分くらいで声をかけても、なかなか集まってこない。それから気持ちが切り替わるのは、さらに15分から20分くらいかかります。
だから45分、50分くらいで「そろそろだよ~」って声をかけ始めて、集まりたい時間までに、少なくとも15分くらいは余裕を持つ。
大人もイライラしたり怒っちゃったりしたときに、「まあまあ、すぐに気持ち切り替えて」って言われても無理だと思うんですよね(笑)。それと一緒で、子どもの楽しい気持ちもすぐには冷めない。「そろそろ片づけるよ~」とか声をかけて、一緒に片づけたりしながら15分くらい待ってぼちぼち集まれば、切り替えもできますし。
絵本を読むときも、たとえば全部で20人ぐらいなら、15人くらい集まったらもう始めちゃいます。
これはだいすけお兄さんの方がスペシャリストだと思いますけど、子どもって、他の子たちがやっていることに惹かれていきますよね。
「集まりまーす!」「集まってない子、何してるの!」とかの強い声かけは、僕はいらないかなと思っていて。子どもは他のみんなが楽しそうなら、寄っていきたくなるんです。

だいすけ 確かに。僕も、歌のお兄さんになった当初は、やっぱり「みんな集まって~!」とか大きな声を出して、収録が終わる頃には声がガラガラでした。慣れてきてからは、6、7割ぐらいの子が話を聞いてくれるようになったタイミングで歌の練習を始めると、他の子も「え、なんか始まった?」みたいに反応して。そうやってだんだんと集中してくる流れは、そういえば感じることがありましたね。大きな声を出し続けなくても、子どもたちが楽しんでくれれば、自然と時が流れていくというか。

「子育てのほとんどは、『まあいっか』で済ませたっていいと思う」。保育者の青山誠さんとだいすけお兄さんが対談。 【だいすけお兄さんのパパシュギョー!・11(前編)】の画像1

大事にしたいのは、今、ここの「空気感」

青山 僕たちの園では、「ミーティング」という話し合いを4歳からするんです。
その中で、「朝、とにかく『早く!』って言われる」「うちは夜だよ」という話になって、みんなで一日の間に大人から言われることを出し合って、全部並べてみたんです。
園に来るまでは、「早く起きなさい」「早く着替えて」「早く座んなさい」「早くごはん食べなさい」「早く歯を磨きなさい」。帰りは「早く自転車乗りなさい」。
そのときに、ある子が「でも大人ってさぁ、自分たちはしゃべってんだよね」って。「僕、それを待ってる間に遊んでたら、ママがクルッってこっち向いて『早く帰るわよ』って」(笑)。
「大人の『ちょっと』は長いんです」って、その子は言ってましたね。
「ちょっとしゃべってくるから」とか「ちょっと待ちなさい」ってよく言われて、「『ちょっと』って長いな」って、子どもも思ってる。言葉にはしないけど。
で、家に帰ってからもずっと「早く靴脱ぎなさい」「早く手洗いなさい」。最後は「早く寝なさい」「明日早く起きなさい」「でも7時より前には起きないでね」って言われる、とかね(笑)。

だいすけ めちゃくちゃ面白いですね、それ(笑)。

青山 そう、子どもは意外に大人のことを客観的に見ているんですよね。
以前、35人分のごはんをテキパキ準備していたら、ある子に、「なんでお昼ごはんになると怒ってるの?」って言われたことがあって。そんなつもりはなかったけど、怒ってるふうに見えたんですよね。鬼気迫る勢いだったのか。
だから、「子どもから見たら、この風景はどう見えてるんだろう? この空気感はどうなんだろう?」という点には、僕は職業的にすごく気をつけています。やっぱりおうちの空気を吸って、子どもたちは育つんですよね。それは園も同じなんですけど。大人同士の関係性も含めて、どういう空気感でその場があるのか、というのはすごく大事かなって。
大人は「あれやらなきゃ、これやらなきゃ」って、つい頑張り過ぎてしまう。それでピリピリしちゃうよりは、「今のここの空気はどうかなあ」って俯瞰して、その上でほとんどのことは「まあいっか」で済ませていいと僕は思うんです。
苦しくなっちゃうくらいなら、「まあいっか」で子どもとの関係性を大事にする方がいいのかな、という気はします。

プロフィール

「子育てのほとんどは、『まあいっか』で済ませたっていいと思う」。保育者の青山誠さんとだいすけお兄さんが対談。 【だいすけお兄さんのパパシュギョー!・11(前編)】の画像2横山だいすけ
よこやまだいすけ/NHK Eテレ「おかあさんといっしょ」の歌のお兄さんを2017年3月まで最長9年務める。「子どもに良質の音楽を届けたい」という目標のもと、舞台、ラジオ、TVなど幅広く活躍。NHK Eテレ「すイエんサー」(毎週日曜17:25~17:50)、メ~テレ(名古屋テレビ)「ドデスカ!」(月~金曜6:00~8:00)木曜コメンテーター他、出演多数。YouTubeチャンネル「横山だいすけチャンネル」も配信中。
ミュージカル「チェーザレ 破壊の創造者」にハインリッヒ7世役で出演!
累計140万部突破の大ヒット歴史漫画を、待望のミュージカル化!
東京・明治座:2023年1月7日(土)~2月5日(日)
詳細はWEB

Web:yokoyamadaisuke.com/
Blog:ameblo.jp/daisuke-yokoyama/
Twitter:@daisuke_minna
Instagram:@daisuke_youtube

「子育てのほとんどは、『まあいっか』で済ませたっていいと思う」。保育者の青山誠さんとだいすけお兄さんが対談。 【だいすけお兄さんのパパシュギョー!・11(前編)】の画像3青山誠さん
あおやままこと/ 1976年神奈川県生まれ。社会福祉法人東香会上町しぜんの国保育園園長。幼稚園勤務、りんごの木子どもクラブでの保育を経て現職。
著書に『あなたも保育者になれる 子どもの心に耳をすますための22のヒント』(小学館)など。

インフォメーション

前回のゲスト・滝沢秀一さんとの対談は、こちらから。
また、kodomoe12月号では、「コロナ禍で子育てする僕たちにアドバイスをお願いします」というテーマで、だいすけお兄さんと青山さんの対談を掲載しています。

これまでの「だいすけお兄さんのパパシュギョー!」一覧を見る。

インタビュー/原 陽子 撮影/大森忠明 スタイリング/吉岡ちさと(だいすけさん) ヘアメイク/安藤千浪(だいすけさん)
だいすけさん衣装/チェックシャツ39600 円、サーマルTシャツ14300 円、パンツ26400 円(BLUEBLUE)/ HOLLYWOOD RANCH MARKET

 

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