だいすけお兄さんと『ざんねんないきもの事典』の今泉忠明先生が対談。「サルのしつけは『怒る』のではなく、『叱る』んです」【だいすけお兄さんのパパシュギョー!・2】
横山だいすけさんが、パパやママの代わりにさまざまなジャンルの専門家からお話を聞く「だいすけお兄さんのパパシュギョー!」が、本誌で好評連載中。第2回のゲストは、『ざんねんないきもの事典』監修者としてもおなじみ、動物学者の今泉忠明先生です。本誌では伝えきれなかったお二人の楽しいトークを、webでご紹介します!
第1回はこちら
動物は、親子べったりの時期が終わると、厳しいしつけが始まる
今泉先生(以下今泉) 子育てはチンパンジーでもゴリラでも、1歳まではもうべったりですよ。それでね、赤ちゃんに対しては怒らない。
だいすけお兄さん(以下だいすけ) 怒らないんですね!
今泉 大人のチンパンジーの体毛は真っ黒ですけど、赤ちゃんはお尻に白い毛がピッと生えている。それが赤ちゃんの印なんです。蒙古斑みたいなものだよね。それが消えたとたんに、しつけが始まるんです。それはもう厳しい。
だいすけ 厳しいんですか⁉
今泉 うん。噛みつくんだね。「仲間に噛みつくのはいけない」っていうのを教えるのに、同じことをするんです。サルの社会では、噛まれるってことがしつけになるんですね。それは「怒る」んじゃなくて「叱る」。「こうやったらいいんだよ」って言い聞かせてあげているんです。人間はみんな、怒るんだよね。怒っているうちによけい興奮してきて、子どもを叩いちゃったりする。大人は「冷静に、冷静に」って思わないといけないですね。特に、子どもが何か失敗したときは、ちゃんと理屈を考えてあげるんです。落っことして何かが割れたら、怒るんじゃなくて、「これはね、地球には重力があるからだね」「今度は気をつけようね」と。
子どもの「ちょっとやってみようかな」という好奇心が大事
だいすけ そういう意味では、動物はすごく冷静ってことですね。
今泉 そうですね。でも、呼んでも向こうへ行っちゃう子は、もう面倒見ないんですよ。だからそれだけ厳しいっていうことでしょうね。人間は、何かする前から親が注意する。「なんかやろうかな」と思っているだけで、「そんなことしちゃダメ!」なんて言われるから、萎縮するよね。「ちょっとやってみようかな」っていう、好奇心は大事ですよね。動物も人間も、赤ちゃんのときに親とべったり密着度が高まって、戻ってくれば親が必ずいるという安心感があるから、冒険に出て行くんです。
だいすけ 聞けば聞くほど動物っておもしろいな、人間もその一部なんだなって感じます。「愛情をしっかりと注いでいけば、外に興味を持って自分の足で歩いて行く」って、僕自身もわかっていたはずなのに、自分の子どもになると、急になんかいろいろ考えだしちゃって。
今泉 あははは、確かに(笑)。
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