年齢によって変わっていく、きょうだいの関係性を写真に残す【ママカメラマンのスマホ写真術・24】
育児雑誌などで活躍中のママカメラマン、成田由香利さんによるスマホカメラの写真術。子どもを撮るときなどのアドバイスを教えていただきます!
第24回 きょうだい写真のあれこれ
みなさん、こんにちは。冬の寒さが身にしみる季節になりましたね。いかがお過ごしですか?
今回のスマホ写真術は、日常の中で撮るきょうだいの写真についてお話ししてみようと思います。
昭和生まれの私がまだ小さかったときは、フィルム写真が主流だったこともあり、きょうだいで写真を撮るというと、どこかに行った際の記念写真や七五三などのお祝いごとの時が多かったように思いますが、今は多くのかたがカメラ付きのスマホを持っています。手元にいつもカメラ(機能)があるようになった今、普段の生活の中でのちょっとした子どもたちの様子を、枚数を気にすることなく気軽に残せるようになって、とってもいい時代になったなあと思います。
日常生活の中できょうだいで写真を撮ると、それぞれの性格が自然に滲み出てきますし、年齢によって変わりゆく「お互いの関係性」の記録にもなるので、ふとしたときの写真をぜひ撮りためていってほしいなと思います。撮り続けているときょうだいの成長の軌跡が残っていくので、数年後、更に何十年後もパパやママはもちろん、お子さんたちも含めて家族でそのときの話を思い出して楽しめますね。
普段の生活の中でも、撮っておくと面白いなあと思うのが、生活の中できょうだいの喜怒哀楽にコントラストがあるときです。お姉ちゃんがにっこりしている横で、弟がふくれっ面をして座り込んでいたり、一方が真面目な様子なのに、その横で眠っていたり。きょうだいがいらっしゃるご家庭であれば、一度は経験したことのあるシーンではないでしょうか。
感情に割と素直なこども時代だからこそのわかりやすいコントラストなので、怒ったり泣いているお子さんが不快にならない程度に(あくまでこっそりと)撮り残しておくことをオススメしたいと思います。
こちらの写真は、長男にランドセルが届いたときの様子を収めた一枚です。次男は、自分もランドセルが欲しかったと、私に泣きついています。雑然とした部屋の中で「映え」のない写真ですが、当事者としては当時を思い出し、笑ってしまうような1シーンで、とても気に入っています。
また、こちらの写真は、次男を出産して里帰りしていた際の写真で、お腹が空いて泣いている弟を、なだめようと真剣な長男です。ちょっと手に力が入りすぎているようにも見えますが、一生懸命なでたり、布団をかけたりはがしたり、トントンしたり色々してあげていて、兄弟のなんとも言えない二人だけの親密な様子に感動して、台所で用意してきたミルクを抱えたまま、声もかけずしばらく眺めてしまいました。
子どもたちだけで成り立っている不思議な空気感は、シャボン玉のようなもので、そこにうっかり立ち入ってしまうと、あっという間にいつもの空気感に戻ってしまうので、日常の様子を写真に収めるときも、楽しく絡まり合って遊んでいる時も、なるべくそーっと覗き見するような感覚で、写真を撮っていきましょう。
また、お互いがライバルのような関係のきょうだいですと、二人並ぶだけでも喧嘩になってしまうような時期もあるかと思いますが、そういった場合は背中合わせにして、シンメトリーな写真にしてみるというのはいかがでしょうか。
お互いの間隔を空けて並んで撮るのも、そのときの関係性が出ていいかもしれません。ぜひありのままの姿を収めてくださいね。
また、年齢が近いきょうだいの場合、下の子が上の子と同じことをしたい年頃のときもあるかと思います。そんなときは、横並びで同じことをしてもらい、撮ってみましょう。
同期?シンクロ?しているかのような子どもたちの様子は、写真の見ためも面白く、可愛くて目をひきますよ。私も好きで、シンクロしているとすかさず撮っています。
どこかに遊びに行ったときなど、たまにはきょうだいが並んだきちんとした記念写真を撮りたいものですが、親の気持ちとは裏腹に、なかなかきょうだいの記念写真は撮りにくいもので、全員がカメラの方を向いてくれるのにとても時間がかかりませんか?
じっとその時を待っていると、私自身もイライラガミガミしてしまいますが、実は何人か集合で撮るときは、みんなの視線が揃う前もとてもいいシャッターチャンスですので、ゆるりとした気持ちでざわざわしているところから徐々に撮り始め、様子を見ながらカメラの方を向いてもらう声かけをしてみましょう。集合写真を撮り「最後の一枚ね」と言って一枚撮ったその直後が緊張が解けた瞬間になるので、そこも逃さないように、もう一枚シャッターを押す気持ちで狙っていきましょう。
小学生くらいになってくると、とりあえず、早く撮り終わるのを待っている「無」の表情の写真も増えてきますが、そんな様子も、楽しげな背景の中にいると、ミスマッチで面白いものですよ。
日常の中で撮るときは、撮るために密着させるのではなく、密着している時を狙って、撮っておくといいと思います。いかがでしたでしょうか? 頭の片隅にちょっと覚えていてもらえるだけでも撮れる写真が変わってくると思いますので、覚えていてくださいね。
それではまた。
<今週の一枚>
今年のお正月、近所の公園にバドミントンをしに行った際に、息子たちを撮った写真です。
子どもたちが成長するにつれて、それぞれの活動が増えていき、カメラの出番は減っていっているのですが、幼児期ほどではないにしろ、じわじわと成長し続けている彼らにカメラを向けると、いつも当たり前のようにそこにあって、何も変わっていないように思う顔の作りさえも、少し大人びたように見えてくるので、不思議です。
ちょっとそこに立ってと言うとシャキーンと立つ二人。手持ち無沙汰だと、すぐに気をつけのポーズになってしまうのも小学生になったことの表れかもしれませんね。そんなときは、どこかに寄りかかってもらったり、座ってもらったり、体のバランスが崩れるような体勢になる場所を選んであげると、途端にリラックスして撮りやすくなりますよ。
なりたゆかり/カメラマン。1980年生まれ。秋田県出身。大学在学中に写真にめざめ、夜間の写真学校に通い学ぶ。その後六本木スタジオ勤務を経て、回里純子氏に師事、2008年に独立。小学3年と1年の息子二人の母。主に雑誌の撮影で幅広く活動中。
Instagram @naritayukari_p