散歩の途中、子どもの何気ない様子を効果的に撮る方法【ママカメラマンのスマホ写真術・20】
育児雑誌などで活躍中のママカメラマン、成田由香利さんによるスマホカメラの写真術。子どもを撮るときのアドバイスを教えていただきます!
お散歩中の写真について
みなさんこんにちは。今回は、お散歩中の写真についてお話ししてみようと思います。
子どもたちは、あんよができるようになると、それまでお部屋の中では見ることがなかった自然や生き物に触れ、興味を示し、お外が大好きになりますよね。行動範囲が広がり、楽しそうな姿を見るのは嬉しいけれど、ある程度大きくなるまでは、手を引いてあげたり、子どもたちの安全を確保しなければならないので、写真を撮るのはなかなか大変です。
小さいお子さんのお散歩中の写真を撮るときは、子どもたちが立ち止まって何かをしている時などに声をかけながら撮る、ということから始めるといいと思います。その時に大事なのは、立ったままではなく、パパやママもお子さんと同じ目線まで下がることです。時には、お子さんを覗き込むような体勢で撮ってみるのもいいですよ。そのほうが、お子さんの表情もよく見えます。
何か触っているようならその手元の写真も残しておきましょう。最初はうんと近くで、その上で、大丈夫そうなら、お子さんと少し距離をとり、背景が多めに写るように撮ってみてください。お子さんに寄った写真と、広く背景が写っている中にお子さんがいる写真と両方あると、数年後、見返したときに、その時の季節や環境を目にして、懐かしさが増幅しますよ。
危なくない場所であれば、少しお子さんから離れて、子どもたちだけの空間を撮影するのは、とてもお勧めです。 こちらの写真は、ある日曜日の夕方。住居者以外の車の通りがほとんどない場所で、 少しの間、体を動かしました。
嬉しそうに、私の元へトコトコ駆け寄ってくる次男。が、しかし、次の瞬間……、
つまずいて大きく転んでしまいました。感情がコロコロ変わる幼児期ならではの様子を 残しておくと、後で見たときに、笑ってしまいますね。
これから梅雨に入ると、雨の日が多くなりますし、傘やカッパを着た姿も残しておくといいですよ。
雨の日のしっとりとしたグレーな世界のなかで撮影すると、明るい色のものが多い雨具はとても映えます。
こんな時も寄った写真と、引いた写真と両方撮っておくと、違った雰囲気を楽しめますよ。
雨の日の夕方、街の明かりが印象的だったので、こちらは私のビニール傘と交換して撮っています。透明なので、傘についた雨粒が見えたり、傘で顔が暗くなったり、隠れて見えないこともないので、重宝しています。
数年分の普段のお散歩写真を集めて眺めていると、子どもたちの成長を感じ、その年齢の特徴が目に見えてわかり、懐かしい気持ちになりました。そして、今現在小学生である彼らの小学生男子らしい「ちゃんとしない」感じも、息子記録の1ページとして残していきたいと思います。
8年前、犬のおもちゃをガラガラ引っ張ってお散歩していた息子は、永遠に家にたどり着けないのではないかと思うほど、ゆっくりとした足取りで道草をして楽しんでいたけれど、2年前の写真のなかでの息子は地下鉄の駅も迷わずスタスタ進み、駅のホームの風景に溶け込んでいました。見慣れた背中なのに、確実に大きくなっているんですね。
このコロナの自粛期間を経て、レジャーの時の写真もいいけれど、普段の道を歩く何気ない様子の子どもたちを残しておくのもやっぱりいいものだなあと思いました。
皆さんも、いつもの道の風景をたっぷり含んだ子どもたちの今をぜひ残しておいてくださいね。イヤイヤ期だったり、ママから離れられない人見知りの時期だったり、はたまたカメラの前でふざけるシーズンだったりするお子さんのその姿も、成長とともに、変わりゆくものだと思うので。
それではまた。
今週の一枚
この写真は、お散歩中に小腹がすいた長男が、ベンチでおやつを食べているところです。カメラ目線の写真もいいけれど、コンビニ袋を小脇において、ムシャムシャと無心で食べている姿は、お昼休みに公園でランチを食べているサラリーマンのようで、何だか笑ってしまいました。
※成田さんのおこもり時間の過ごし方、短期集中連載「我が家のおこもり日記」はこちらで読めます!
なりたゆかり/カメラマン。1980年生まれ。秋田県出身。大学在学中に写真にめざめ、夜間の写真学校に通い学ぶ。その後六本木スタジオ勤務を経て、回里純子氏に師事、2008年に独立。小学3年と1年の息子二人の母。主に雑誌の撮影で幅広く活動中。
Instagram @naritayukari_p