2025年3月24日

卒園シーズンに読みたい絵本『そしておめでとう』【親子の読み聞かせに。今日の絵本だより】

ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめするweb連載「親子の読み聞かせに。今日の絵本だより」。過去にご紹介した絵本の中からピックアップ。親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。今回は、卒園シーズンに読みたいこちらの絵本をご紹介します。

そして おめでとう

卒園シーズンに読みたい絵本『そしておめでとう』【親子の読み聞かせに。今日の絵本だより】の画像1『そしておめでとう』
瀬戸口清文/詩 えがしらみちこ/絵 ニジノ絵本屋 1870円

今年も3月、いよいよ卒業シーズンですね。
今回は卒園絵本、『そしておめでとう』をご紹介します。

表紙をめくった扉には、
「おめでとうの あのあさ
 おかあさんの うしろに かくれて ないていた」
と、入園式の看板の前で、おかあさんから離れられずに涙をこぼす女の子。
ここでもうすでに泣けてくる、ママやパパも多いのではないでしょうか。
ページをめくると、
「あのこ いまは
 つよいこ やさしいこ
 こんなに おおきく なりました」
小さかったあの子が、たった数年の間に、卒園式の看板の前で、にっこり笑えるお姉さんになりました。
友だちみんなと過ごした毎日、小さなけんかも、すぐ仲直り。
運動会で玉入れをして、おゆうぎ会でみんなで歌って。
えがしらみちこさんが描く園での毎日は、子どもたちのみずみずしい笑顔でいっぱいの、まるで素敵なアルバムのようです。

『そしておめでとう』は、NHK「おかあさんといっしょ」第8代体操のお兄さん・瀬戸口清文さんが書いた卒園の歌を、絵本化した作品。
1997年に手話ソングとして発表されたこの歌は、一番初めは瀬戸口さんの長女・あゆみさんの卒園にあたって、お父さんが書きおろしてくれたものでした。
版元「ニジノ絵本屋」の特設サイトでは、手話と歌の動画が見られます。
動画で手話を披露しているのは、娘のあゆみさん(歌は堀江美都子さん)。
現在はパントマイムと絵本のパフォーマンスユニット「おむすびひろば」の“絵本のおはなしお姉さん”、みみちゃんとして活躍中のあゆみさんが、2018年に亡くなられたお父さんの歌を絵本の形にしたいと、家族や仲間と力を合わせ、2年半をかけて1冊になったのがこの絵本です。

「げんき ゆうき えがお
 ありがとう
 そして
 おめでとう」
のフレーズがいつまでも胸に残る手話動画、ぜひ特設サイトでご覧ください。
歌と絵本、それぞれに素敵なのですが、歌×絵本を合わせて受け取ると、やっぱり何倍にも増幅して心に響くことを実感。
卒園を迎えるご家族へのプレゼントにも、ぴったりの1冊です。

選書・文
原陽子さん

はらようこ/フリー編集者、司書、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

※こちらの記事は2021年3月にウェブ掲載したものを再編集しています。

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