2025年2月10日

バレンタインの季節に読みたい絵本『チョコレートパン』【親子の読み聞かせに。今日の絵本だより】

ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめするweb連載「親子の読み聞かせに。今日の絵本だより」。過去にご紹介した絵本の中からピックアップ。親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。今回は、バレンタインの季節に読みたいチョコレートパンの絵本をご紹介します。

チョコレートパン

バレンタインの季節に読みたい絵本『チョコレートパン』【親子の読み聞かせに。今日の絵本だより】の画像1『チョコレートパン』
長新太/作 福音館書店 990円

今年もバレンタインがやってきましたね。
義理チョコ、友チョコ、家族チョコ、近年ではすっかりいろんな形に進化(?)した、日本のバレンタイン。
チョコレートが出てくる絵本もいろいろありますが、kodomoe読者の皆さんなら、小さいお子さんと一緒に読めるこんな1冊はいかがでしょう。
『チョコレートパン』。

表紙に見える風景は、何でしょう。
「これは チョコレートの いけ。」
そこへ、
「パンが トコトコ あるいてきて……」
たくさんのかわいいパンが、チョコレートの池に、温泉みたいに入ってしまいました。
そしてページをめくると、パンが池からあがって歩いていきます。
「チョコレートパンの できあがり。」

もう、これだけでも、固い頭がふにゃ〜っととろけてしまうのですが。
またむこうから何かやってきて、チョコレートの池に入りましたよ。
「ビュー ビュー」
と空中にチョコレートを噴き上げるのは……
「ゾウです。」
それから、リス、ウサギ、ネズミ……、いろんな動物がどんどんやってきて、次々入ってきます。
そこでついに池が(!)、一言。
みんなに何と言ったかは、ぜひ読んで確かめてみてくださいね。

作者は、ナンセンスの神様と言われる長新太さん。
『キャベツくん』(文研出版)や「へんてこライオン」シリーズ(小学館)など、子どもは大ウケでも、大人は「……?」となってしまう絵本を、たくさん描かれています。
絵本に正解や教訓を求める人だと、あまりにとらえどころがなくて「ええっ?」と思うかもしれませんが、それがツボ。
絵本の懐の広さ、深い可能性を感じさせてくれるのが、長さんワールドのありがたさ。
私は子どもの頃から生真面目な方なので、長さんの世界に飛び込み、自由に泳げる人(子)がうらやましいのですが、そんな自分にも『チョコレートパン』は親しみやすい物語。
裏表紙に並んだパンたちが、なんともかわいいんですよ。

『チョコレートパン』の対象年齢は、2歳から。
チョコレートの池に身も心もひたりながら、親子で頭をゆるめてみてください。
ちなみに私はチョコフォンデュを見ると、『チョコレートパン』を思いだし、池のセリフがリフレインします。

選書・文
原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、司書、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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