kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子の読み聞かせにこんな絵本はいかがですか。

『かっぱまきください！！』
まつながもえ／作　小学館　1540円

 4月をのぞく毎月19日は、「い(1)いきゅう(9)り」で「いいきゅうりの日」。
(ちなみに4月19日は「良いきゅうりの日」。)
この日にちょうどおすすめの、きゅうりでいっぱいの一冊、『かっぱまきください！！』をご紹介します。

今日は、かっぱのさらたろうの誕生日。
「さらたろう、だいすきな　きゅうりを
おなかいっぱい　たべておいで」
とかっぱままに見送られ、さらたろうはパパのかっぱぱと一緒に、頭のお皿を隠して町の回転ずし屋さんへ出かけます。
お店について早速、
「かっぱまきください！」
「へい　かっぱ！」
お店の大将が、いせいよく答えます。
回ってきたお皿から、かっぱまきをふたりでぱくっ。
「おーいしーいっ！」

おや、テーブルの上に「きゅうりずきにオススメ!!　ぎゃくかっぱ」と、気になるメニューが。
きゅうりを巻いているのでなく、きゅうりの真ん中にシャリが入っています。
それから、きゅうり1本まるごと巻いた「まるごとかっぱ」も。
ふたりはもちろん注文、ぱくっ、ぱくっ。
「お　お　お　おいしすぎる……!!」
心底感動しているさらたろうとかっぱぱの様子につられて、他のお客さんもみんな次々にかっぱまきを注文。
お店のレーンには、もうかっぱまきしか回っていません。
あまりの人気に、ついに今日の分のきゅうりがなくなってしまいました。
そこに、かっぱぱがすっくと立ちあがり……!?

誕生日の特別なおでかけ、大好物を親子で好きなだけ食べるって、うれしいですよね。
でも、かっぱぱとさらたろう、人間のおすし屋さんでこんなにたくさん食べて、かっぱだとばれてしまわないかしら……、と気になるのですが、心配ご無用。
あっと驚くラストが待っていますので、ぜひ本を開いてお楽しみください。

選書・文　原陽子さん
はらようこ／フリー編集者、司書、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、ＭＯＥでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。