『あなたがうまれたとき』【今日の絵本だより 第289回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『あなたがうまれたとき』
くさかみなこ/作 横須賀香/絵 小学館 1320円
もうすぐGW。
いつも以上にお子さんと一緒にいる時間が増えて、うれしかったり、ままならなかったり、笑ったり、怒ったり。
自分が「お母さん」であることを、より多く感じる期間かもしれませんね。
この春の新刊『あなたがうまれたとき』は、
「あなたが うまれたとき
わたしは おかあさんに なりました。」
という言葉で始まる絵本です。
扉のページをめくると、うまれたばかりの赤ちゃんが、まっすぐこちらを見つめる瞳。
「あなたが はじめて めを あけたとき
このこを まもりたいと おもいました。」
もう一度ページをめくると、お母さんの腕の中で、にっこりと笑う顔。
「あなたが はじめて わらったとき
せかいで いちばん かわいいと おもいました。」
こんな瞬間が確かにあったと、母親ならきっと共感できる場面が、いくつも描かれます。
少しずつ大きくなるにつれ、うれしいことばかりではなく、ときにはこちらの胸が痛くなるできごとも。
でもそれも、母親になったからこその思い出。
どの瞬間も、あなたのいない世界では、きっと体験できなかったこと。
これまでのわが子との歩みを思い出して、「うまれてきてくれて、ありがとう」という気持ちが、自然と胸に満ちてきます。
今年はGW明け、5月8日が早めの母の日。
これからも続く子育ての日々のお守りとして、この一冊をお母さんが自分自身への贈り物にするのも、きっと素敵ですよ。
東京・神保町のブックハウスカフェでは、2022年4月27日(水)から5月17日(火)まで、店内ギャラリー「こまどり」にて横須賀香さん絵本原画展『あなたがうまれたとき』を開催中(期間中無休)。
4月29日(金)にはくさかみなこさん、横須賀香さんのおふたりによるトークイベント「絵本『あなたがうまれたとき』が生まれるまで~娘に送る応援歌!」(店舗・オンラインイベント、見逃し配信あり) が、5月7日(土)には横須賀香さんによるワークショップ「母の日に贈るカードを作ろう!」(店舗イベント)が予定されています。
いずれもくわしくはブックハウスカフェのサイトからご確認ください。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。