『がっこうだって どきどきしてる』【今日の絵本だより 第285回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『がっこうだって どきどきしてる』
アダム・レックス/文 クリスチャン・ロビンソン/絵
なかがわちひろ/訳 WAVE出版 1540円
4月第一週、入学式のニュースもあちこちから聞こえてきます。
この春がご入学という皆様、おめでとうございます。
初めての学校生活は、どきどきしますよね。
子どもも、そして実は大人も。
そんなご家庭にこちらの一冊、『がっこうだって どきどきしてる』をご紹介します。
主人公は、新築工事が終わったばかりの、ぴかぴかの真新しい学校。
でも、
「なにしろ うまれたばかりなので、
がっこうが どんなところかは しりませんでした。」
用務員さんが
「じきに こどもたちが くるよ」
と言った通り、しばらくすると新学期が始まって、子どもたちが大勢やってきました。
校舎も校庭も、一気に声があふれてにぎやかに。
でもすみっこには、ふくれっつらの子どもたち。
「つまんないなあ。ねえ、がっこうって すき?」
「きまってるじゃん。だいっきらいだよ。」
それを聞いた学校は、胸を刺されたような気持ちになりました。
昇降口で大人に抱えられて、
「がっこう いやだー!」
と泣く子もいます。
自分がみんなに嫌われているように思えて、学校はためいき。
気持ちがとげとげしたあまり、うっかり非常ベルを鳴らしてしまい……。
つまずき気味のスタートの初日ですが、お昼のふとしたできごとをきっかけに、学校も子どもたちも気持ちがほぐれて、午後には少しずつ笑顔が増えていきます。
新しい場所、初めて会う仲間、新入学は緊張が多いもの。
いえ、緊張の方がメインかもしれません。
でも、それはみーんな同じ。
初めての一日が終わり、明日もみんなに会えるのが楽しみになってきた学校に、用務員さんがかけた言葉を紹介します。
「がっこうには こどもたちが まいにち やってくる。
いろんなことを べんきょうして、あそんで、わらって、
ないて、おこって、けんかをして、なかなおりをする。
みんな いつまでも がっこうのことは わすれない。
こんなに すてきな たてものって、 めったに ないよ」
皆さんの今のどきどきも、毎日少しずつ、わくわくや笑顔に変わっていきますように。
(きっと大丈夫!)
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。