『おばけのやだもん まほうのカレーライス』【今日の絵本だより 第268回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『おばけのやだもん まほうのカレーライス』
ひらのゆきこ/作・絵 教育画劇 1100円
1月22日は、カレーライスの日。
カレーライスが出てくる絵本もたくさんありますが、今回は一味違うダークヒーロー(?)が主役のこちら。
『おばけのやだもん まほうのカレーライス』をご紹介します。
やだやだおばけのやだもんは、やだやだ言う子どものことがだーいすき。
おや、
「もっと おいしい ごはんじゃなくちゃ
やだやだニャー」
なんて言ってる、猫のニャーゴを発見。
やだもんは早速、ぴたんとくっついて、真っ赤な舌でべろべろーん。
ニャーゴはあっという間に、やだやだおばけになっちゃった。
それからふたりは、仲良く一緒にカレーライスづくり。
魔法のやだやだソースをお鍋にたっぷり入れて、
「ちちん ぷいぷい やーだやだ」
ぐるぐる混ぜてコトコト煮込めば、特製やだもんカレーのできあがりです。
さあ、ふたりは早速町に出て、子どもたちにカレーをふるまいます。
最初のお客様、はるくん、ひなちゃん、しゅうちゃんがやってきて、もぐもぐ食べたら、
「ジュースじゃなくちゃ やだー」
「やだ、もう たべたくなーい」
「にんじん やだー」
やだやだソースの効果抜群、みんなでやだやだ言い始めました。
やだもんは3人にぴたんとくっついて、べろべろーん。
ねらい通りにやだやだおばけのできあがり、と思ったら、そこへ……?
イヤイヤ期まっさかりのお子さんには、ひとごとではないやだもんのお話。
怖いもの見たさで楽しめる子も、自分のこととは思わない子も、中には本気で怖がっちゃうお子さんもいるかしら?
シリーズ4冊目の今回のお話は、そんなやだもんに一枚上手の相手が現れて、思わぬピンチに。
カレーライスをおともに読めたら、さらに盛り上がりそうですよ!
そこはもちろんやだもんカレーでなく、安心なおうちのカレーでお願いします。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。