『ポケットねこ』【今日の絵本だより 第248回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『ポケットねこ』
いりやまさとし/作 講談社 1210円
朝晩少しずつ冷えるようになって、ふわふわ、ふくふく、あったかいものが恋しい季節になりましたね。
今回はそんな今の時季にぴったりの新刊絵本、『ポケットねこ』をご紹介します。
ピンクのポケットにすっぽり入った、ポケットねこ。
ポケットから出て、
「とことこ とことこ」
と黄色いちょうちょを追いかけて、ページをめくると、
「うえきばちに すっぽり
ポケットねこ」
お顔だけ出して、植木鉢にちょこんと入ってしまいました。
(……かわいい!)
それから、
「ころころ ころころ」
と赤い毛糸玉を追いかけて、ページをめくると、
「かごの なかに すっぽり
ポケットねこ」
緑の毛糸玉と一緒に、かごに入ってしまいました。
(……くう、かわいい!)
作者は『ぴよちゃんのかくれんぼ』(学研)や『ころころパンダ』『パンダともだちたいそう』(講談社)などでおなじみの、いりやまさとしさん。
ねこが身近にいない自分でさえ、どのページでも思わず目を細めてしまうので、ねこ好きな皆様にはこれはもう、たまらないのではないでしょうか。
読み聞かせの目安は、1歳から。
どこをめくっても、かわいさと、温かさと、優しさと。
読むうちに自然と、幸せな気持ちが満ちていきます。
最後にポケットねこが行くところは、どこでしょう。
「いちばんの ポケット みーつけた!
ぴったり すっぽり
ああ いい きもち」
うわあ、これは素敵。
小さいお子さんのいるおうちでは、きっと真似できるんだろうなあ、うらやましい!
ぜひお手に取って、「いちばんの ポケット」、確かめてみてくださいね。
大人の心もふんわりとほどけていく、親子時間のお守りになりそうな1冊です。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。