『やすみのひ』【今日の絵本だより 第236回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『やすみのひ』
小池壮太/作 ブロンズ新社 1155円
9月8日は、休養の日。
「休(9)養(8)」の語呂合わせから、「積極的休養」の考え方を普及し、休養の大切さを再認識してもらうために、日本リカバリー協会が制定した記念日です。
せっかくの休養の日、絵本『やすみのひ』をおともに、お休みを楽しんでみませんか。
「めざましどけいさん めざましどけいさん
やすみのひ なに してるの?」
表紙でお口を開けて居眠りしている、めざましどけいさん。
ページをめくると、あら、今度はきれいな花柄のお布団で、すやすや寝ています。
「やすみのひは
ふかふかの おふとんで
おひるすぎまで ねぼうしてるの。」
そっか、毎日誰かを起こしたり時を刻んだり、ハードワークですもんね。
「ほうきさん ほうきさん
やすみのひ なに してるの?」
おうちの床をせっせとはいている、ほうきさん。
ページをめくると、おや、意外な場所に?
「やすみのひは
おふろやさんに いちばんのりして
しゅわしゅわ シャンプーしているの。」
なるほど、いっぱいお掃除したら、毛先が汚れますもんね。
ちょきんばこさん、せんたくばさみさん、くつしたさん、毎日お仕事しているものたちの休息日。
それぞれの過ごし方に、納得したり、くすっとしたり、驚いたり。
そうそう、くつしたはそれぞれに別行動。
この本を読んだら、くつしたが片方見つからない時も「きっと今頃あの場所に……」と、気持ちがゆるやかになりますよ。
(裏表紙をお見逃しなく!)
作者の小池壮太さんは、kodomoe付録絵本から誕生した『おやつトランポリン』 (大塚健太/文 白泉社)の画家。
洋画家として油彩で風景画や静物画を発表しながら、絵本の場でも活躍しています。
温かく濃密な質感と、軽やかなユーモアのコンビネーションで、なんだか繰り返し読みたくなるのです。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。