『たなばたバス』【今日の絵本だより 第222回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『たなばたバス』
藤本ともひこ/作・絵 鈴木出版 1430円
7月7日は、七夕。
七夕にちなんで、昨年はこちら 、一昨年はこちら の絵本をご紹介しました。
七夕の絵本というと、しっとりした作品が多い気もするのですが、今年はこちら。
ひたすら愉快な『たなばたバス』はいかがでしょうか。
バス停で待つねずみたちのもとに、「おはようございバス」と、バスがやってきました。
バスの上には、七夕飾り。
「たなばたバスだ!」
おしゃべりをするこのバス(だじゃれ多め)いわく、天気予報では今夜は大雨。
でも、こんな短冊が空から降って来たのだとか。
「たなばたのよるがあめだと
ひこぼしさまにあえません
どうかはれますように おりひめ」
それを読んだねずみたちは、
「よし! おりひめさまを たすけにいこう!」
とバスに乗り込み、すぐさまカウントダウン。
「5」「4」「3」「2」「1」「0」「はっしゃ!」
「しゅっぱつしバース!」と、バスがロケットのように空高く飛び立ちました。
でも空の上は、あらら、やっぱり雨雲だらけ。
雲を吹き飛ばすために、ねずみたちとバスは力を合わせて……。
理屈抜きの楽しさでどんどん進むこのお話、カウントダウンをはじめ、読者が参加できるポイントがあちこちに。
親子はもちろん、友達同士や園のみんなで読んだら絶対もりあがりますね。
『いただきバス』から始まるこのシリーズは、現在6冊が発売中。
秋は『おつきみバス』や『いもほりバス』、年が明けたら『おしょうがつバス』『まめまきバス』と、季節ごとにお楽しみが待っています。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。