『ねえさんといもうと』【今日の絵本だより 第153回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『ねえさんといもうと』
シャーロット・ゾロトウ/文 酒井駒子/絵・訳 あすなろ書房 本体1300円+税
3月6日は弟の日、6月6日は兄の日。
「今日の絵本だより」でもそれぞれにちなんできょうだいの絵本をご紹介しましたが、9月6日は妹の日。
(ちなみに12月6日が姉の日。)
今回は、優しいピンク色が表紙の姉妹の絵本、『ねえさんといもうと』をご紹介します。
お話は、いもうとの髪をとかしてあげているねえさんの絵で始まります。
「あるところに、ねえさんといもうとが いました。
ねえさんは、いつだって、
いもうとの めんどうを みてあげました。」
遊ぶときはいもうとが道路に飛び出さないか気にかけて、ブランコも押してくれるねえさん。
草原に行くときはいもうとが迷子にならないよう、工夫してくれるねえさん。
いもうとが泣いてしまうと、優しく肩を抱いてくれるねえさん。
仲良しのふたりだけれど、
「でも、あるひ。
いもうとは、なんだか ひとりになりたいと おもいました。」
そうしてそうっと家を出て、どんどん歩き、草原に着いたいもうと。
ねえさんがいもうとを呼ぶ声が近づいてきましたが、黙って草の中に隠れています。
ねえさんは、行ってしまいました。
いもうとが草原にひとり寝転んでいると、ねえさんがまた、いもうとを呼びながら戻ってきて……。
何があったわけではないけれど、ふと、今までとは変わりたくなったいもうとと、いもうとを心配するあまり、今までにない姿を見せたねえさんと。
似たようなひとときを、姉か妹を持つ人は、淡く思い出すのではないでしょうか。
姉妹でなくてもママやパパなら、いもうとを必死で探すねえさんの姿に、胸がきゅっとなるかもかもしれません。
そして、手をつないで家に帰るふたりの姿にも。
シャーロット・ゾロトウの『ねえさんといもうと』は、1974年に翻訳出版 (マーサ・アレキサンダー/絵 やがわすみこ/訳 福音館書店) されていますが、こちらの作品は昨年、酒井駒子さんの絵と訳で新たに出版されたもの。
光にあふれた、優しくみずみずしい絵で、新しくもどこか懐かしいたたずまいを物語にもたらした酒井駒子さんの刊行インタビューが、MOE2019年6月号に掲載されています。
バックナンバーは全国の書店でお取り寄せ可能です。
次回も続けて、妹の絵本をご紹介します。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。