『おとうさんのクリスマスプレゼント』【今日の絵本だより 第96回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『おとうさんのクリスマスプレゼント』
スギヤマカナヨ/作 赤ちゃんとママ社 本体1200円+税
明日はいよいよクリスマス。
kodomoe読者の皆さん、クリスマスディナーやプレゼントの準備に、忙しくお過ごしでしょうか。
今日はその、クリスマスプレゼントにまつわるお話。
『おとうさんのクリスマスプレゼント』をご紹介します。
「12がつになったから
クリスマスツリーをかざろう」
と、おとうさんがおしいれから出してきた箱。
きれいな飾りがいっぱい入った、ぼくの一番好きな箱。
ツリーの準備をしながら、ぼくはおとうさんに聞いてみます。
「ねぇ、おとうさんは こどものころ、
サンタさんから なにを もらったの?」
「そうだなぁ」
おとうさんはちょっと考えて、プレゼントの思い出を話してくれました。
まだ小さいときにもらった、くまの人形。
おとうさんはそれまで怖かった暗い夜も、そのくまと一緒に寝るようになってから、泣かないようになりました。
ある年は、ありの暮らしが見られる、ありの巣の観察キット。
そして、クリスマスの朝、起きたら何もなくてがっかりした年も。
でも大丈夫、玄関には、大きなリボンのついた自転車がちゃんと置いてあったのです。
他にも、素敵なプレゼントの思い出の数々。
サンタさんからのプレゼントをもらえるのは12歳までと知って、おとうさんは最後の年に、サンタさんに今までのお礼をしたいと頑張って起きていることにします。
でもやっぱり眠ってしまった翌朝、おとうさんが見つけたものは……。
おとうさんがサンタさんから受け取っていたものは、決してプレゼントだけではなくて。
クリスマスプレゼントには、その子を思う気持ちが、大人からの願いがつまっている。
最後のページのおとうさんの言葉には、読むたびに泣けてしまいます。
そう、クリスマスは、子どもが無条件に幸せになる時間。
今これを読み聞かせた小さな子も、いつか親になったときにまた子どもと読んでほしい、そんなふうに、時を経て再び出会うことが楽しみになる絵本。
大人にとっては悩ましい「サンタさんからのプレゼント、何歳までか問題」にも、きっと素敵な心の備えになるお話ですよ。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。