
『ねたあとゆうえんち』【今日の絵本だより 第37回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
 こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
 『ねたあとゆうえんち』
『ねたあとゆうえんち』
 大串ゆうじ/作 白泉社 本体1200円+税
3月は「遊園地の日」が2回あること、ご存知ですか?
 3月第2日曜日が東日本の、第3日曜日が西日本の「遊園地の日」なんだそうです。
 今年は3月10日と17日。
 タイムリーにも、kodomoe2018年8月号付録絵本『ねたあとゆうえんち』が、3月6日に単行本となって発売されました。
「おかあさんは はやくねなさいって いうけど
  きょうこそ ぜったいに ねないぞ
  ねむくなっても ぜったいに ねないって
 きめたんだ」
 と、ベッドで絵本を読みながら、固く誓うぼく。
 だって、もしぼくが寝た後に、こんなことが起こったら……。
「ギー ギギ… ガチャーン!」って、ベッドから車輪が出てきて、窓の外から「ウィーン」ってベルトコンベアがのびてきて、ぼくはベッドごと、それに乗っちゃって、夜の空へ。
 友だちも、町のポストや銅像も、大勢一緒に運ばれて、着いたところは見たこともない遊園地!
 ベルトコンベアに乗ったままで、いろんなアトラクションを楽しみ放題。
 ようかいバンドのライブ、にんじゃのひみつきち、おかし取り放題のおかしハウスに、おもちゃ工場見学。
そんな楽しいことになっても、寝ちゃってたら、わからないからもったいない。
 だから今日こそ、絶対に寝ないんだ。
 そう思いながらも、ぼくはいつしか眠ってしまいました。
 でも、最後のページの、窓の外には……!
ちょっとレトロでカラフルな遊園地は、おもちゃばこの中のようににぎやか。
 あんなものやこんなものが、すみずみまでぎっしりと描き込まれています。
 遊園地の中をぐるぐると回るベルトコンベアの、ぼくは一体どこにいる?
 ここには、こんなお店があるよ。
 あれ、このアイテムは、どこかで見たことがあるような……と、一冊の中で絵探しをたっぷり楽しめます。
 絵を細かいところまで見るのが好きなお子さんには、きっとたまらないはず。
 前後で違う見返しにも、作者の遊び心がたっぷり。
寝る前のおふとんで読みたいけれど、読んだ後は、窓の外から「ウィーン」って音が聞こえそうで、目を閉じてからもソワソワしちゃうような。
 そんな楽しくも悩ましい(?)絵本です。
次回も引き続き、遊園地の絵本をご紹介します。
選書・文 原陽子さん
 はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。









































