2018年9月3日

『チリとチリリ まちのおはなし』【今日の絵本だより 第1回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

 

連載【第1回】今日の絵本だより『チリとチリリ まちのおはなし』の画像1『チリとチリリ まちのおはなし』
どいかや/作 アリス館 本体1200円+税

 

例年以上に暑さの厳しかった、今年の夏。
残暑はもうふりきって、絵本からでも秋モードにスイッチしていきたいですね。
そんなときにぴったりなのがこちら、『チリとチリリ まちのおはなし』。

森の中の家に住むチリとチリリは、よく自転車に乗っておでかけします。
チリチリリ、チリチリリと、今日は町の中へ。
きれいな糸が並ぶ糸屋さんでみつけたのは、花びら染めの綿の糸。
チリはつばきの糸とポピーの糸を、チリリはマリーゴールドとすみれの糸を買いました。
次に入ったお店は、織物屋さん。
ふたりの糸を見たお店のお姉さんは、パッタポン、パッタポン……と、機織り機でマフラーに仕立ててくれます。
フリンジには、ナンテンとノブドウのビーズつき。
マフラーを巻いて、また自転車を走らせると、路地の向こうに立派なお屋敷が……。

ふたりが行く先々で出会う、素敵なもの、優しい人、おいしいごちそう。
そして、ゆっくりと流れていく時間。
みんな素敵なおもてなしをしてくれるのに、誰も無理をしていない感じが、また素敵。
色とりどりの糸の山、石畳の町並み、バラのお庭。
宝物がいっぱいつまったようなこの絵本には、ママ自身が小さな女の子に戻って、ときめいてしまうかも。
愛らしい絵はもちろん、ここちよい言葉の響きに、読んでいると不思議に心がおだやかになるので、おやすみ前にもおすすめです。

そういえばこの本は、赤ちゃんが生まれたおうちへのお祝いにもいいかもしれません。
気になる人は、中を読んで確かめてみてくださいね。
四季を通じて季節ごとのお話がある「チリとチリリ」シリーズは、ただ今第6弾まで発売中です。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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