2025年3月10日

絵本「スウスウとチャッポン」制作の日々を振り返る。くどうれいんさん・コンドウアキさんインタビュー【コドモエ絵本作家インタビュー】

kodomoe4月号の付録絵本「スウスウとチャッポン」」♪ 小説や短歌も手がけるくどうれいんさんと、「リラックマ」などのキャラクターデザインでも知られるコンドウアキさん。ユニークな経歴を持つおふたりの絵本「スウスウとチャッポン」制作の日々を振り返ってもらいました。

スウスウとチャッポン

小学生から憧れていたコンドウさんと一緒に絵本を作れるなんて感激です。――くどうれいん

くどうさんの頭の中をのぞけているかな、と思いながら描きました。――コンドウアキ

絵本「スウスウとチャッポン」制作の日々を振り返る。くどうれいんさん・コンドウアキさんインタビュー【コドモエ絵本作家インタビュー】の画像1

掃除機もきれいなものを
吸い込みたいのかも!?

絵本「スウスウとチャッポン」制作の日々を振り返る。くどうれいんさん・コンドウアキさんインタビュー【コドモエ絵本作家インタビュー】の画像2

「ふたりが文句を言いながら歩いているところを描くのは特に楽しかったです。 お花や木など自由に好きに描いてしまいました!」(コンドウ)

――お話の着想のきっかけは?

くどうれいん 幼少期に誕生日会で、きらきらの紙吹雪のクラッカーを鳴らしてもらってとてもうれしかったんです。その日はうれしいまんま散らかしたままで眠り、翌日、床に散らばっていた紙吹雪を掃除機で吸おうとしたのですが、静電気で床にひっついてしまって、うまく吸い込めなかったんです。何度も紙吹雪を吸わせようとしながら(そうか、掃除機は紙吹雪を知らないのかもしれない)(掃除機だって、きれいなものを吸い込んでいいじゃないか!)と思いついたのがこのお話です。

コンドウアキ 初めてお話を読んだとき、初っ端からスウスウがかんかんに怒っていたので笑いました。そして、どんどんお話が展開して、一体どうなるの……とずっとワクワクしていました。

――印象深いシーンは?

コンドウアキ はじめての大冒険をしたあと、ふたりで夜の湖で、ののちゃんを思い出しながら喋るシーンです。ガヤガヤバタバタしていて、いろんな方向に気持ちが向いていた昼間と違い、しっとりとした夜の中で、ポツポツおしゃべりしながらぽろっと本音が出るところ。夜のステキな魔法がかかっているなんともいえない時間を感じて、とてもいいなと思いました。

くどうれいん 華やかだった印象からぐんとトーンが変わって、ふたりが静かにののちゃんのことを考えている様子が胸に迫りますよね。明るいけれど広くて静かな湖、ということがよく伝わってくる絵で本当にすごいと思いました。

――くどうさんにとって、コンドウさんは憧れの人なんですよね。

くどうれいん 小学生のとき、コンドウさんの「みかんぼうや」が大好きで。折り紙で真似して作ったり、年賀状に描いたりしていたくらいです。まさか、お仕事をご一緒できるとは思っておらず、本当に感激です。

コンドウアキ ラフや絵柄を出したときに、くどうさんが毎回、うれしい感想を次々丁寧に送ってきてくださり、描き進めていく上で、本当にありがたく心強かったです。

くどうれいん すべての絵がイメージ通りどころか、イメージをはるかに超えたすばらしさで。登場人物がみんな愛らしくて、何度見返しても自然ににこにこしてしまいます。ぞうに投げ飛ばされてふたりが「ひゃ~」となっているところなんて、まさにスウスウとチャッポンだなあと思いました。スウスウの負けん気の強い眉毛とチャッポンののほほんとした目尻、ふたりの個性も見事に描いていただきうれしいです。

絵本「スウスウとチャッポン」制作の日々を振り返る。くどうれいんさん・コンドウアキさんインタビュー【コドモエ絵本作家インタビュー】の画像3

「このお話を思いついたシーンでもあるので、きれいな紙吹雪に囲まれてよかったねえ、とじーんときました」(くどう)

作家ふたりの往復書簡

くどうれいん To コンドウアキ

コンドウさんは「作・絵」を両方ご自身でされる絵本のほうが多い印象があって、今回ご一緒できたことが夢のようです。自分以外の人が書いたテキストに絵をつけることの大変さ、面白さがあれば聞いてみたいです。(くどう)

コンドウさんからの返信

テキストを書いた人の頭の中を、うまくのぞけているといいなあと思いながらやっていくのは面白いです。ですが、同じ人間ではないので、どんなに頑張っても脳内イメージを一緒にすることはできないので、ドキドキすることでもあります。くどうさんの描く物語は、登場人物がびっくりすることをたくさんしてくれるので、何度も読んで毎回おもしろいなあと楽しみながら描くことができました!(コンドウ)

コンドウアキ To くどうれいん

このお話はキャラクターの性格がしっかりしていて、お話の展開にも生きていて素晴らしいなと思いました。お話を書くとき、まず何から始めますか? キャラクターの性格づけなどからはじめるのでしょうか?(コンドウ)

くどうさんからの返信

自分の生活の中での発見や、ちいさな頃の自分の気持ちなど、必ず手触りのある記憶から発想を始めます。最後まで書き進むことのできる作品は、そういった自分の体験が根っこにあることが多いです。掃除機は音がパワフルなので自然と怒りんぼに、バスタブはつるつるしているのでのんびりとした性格になりました。キャラクターの性格が際立ったのはコンドウさんの絵のおかげです、うれしい!(くどう)

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くどうれいん
小説、エッセイ、短歌、絵本など幅広く活動。絵本に『あんまりすてきだったから』(みやざきひろかず/絵 ほるぷ出版)。

絵本「スウスウとチャッポン」制作の日々を振り返る。くどうれいんさん・コンドウアキさんインタビュー【コドモエ絵本作家インタビュー】の画像5

撮影/黒澤義教

コンドウアキ
絵本に「ゆめぎんこう」シリーズ(白泉社)など。「みかんぼうや」「リラックマ」「おふとんさん」などのキャラクターデザインも。

(kodomoe2025年4月号掲載)

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