2019年8月29日

切れ味のいい包丁なら子どもの好き嫌いがなくなる!? 包丁とぎに挑戦!

手順2:包丁を研ぐ

失敗なく包丁を研ぐためには、包丁の砥石に対する角度を安定させ、ブレないように研ぐことが最も重要です。そのために大切なのが、包丁の持ち方と構え方です。切れ味のいい包丁なら子どもの好き嫌いがなくなる!? 包丁とぎに挑戦!の画像6

説明に出てくる包丁の各部の名称です。

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はじめに、利き手で包丁の柄の部分を握り、人さし指で峰(包丁の背中部分)を、親指であご(ジャガイモの芽を取るのに使う部分)の刃に近い部分を押さえるように持ちます。このとき、危険ですので刃先には触れないようにしてください。

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次に構え方です。包丁を砥石に対して直角にして研ぐと、研ぐたびにどうしても手元がブレてしまいます。そこで、包丁をななめにして構えることで、ブレを少しでも抑えるようにします。

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ここで、ポイントです! 砥石に対する包丁の角度を“ちょうどよく”することで、さまざまな食材に対応できるバランスのいい刃に仕上がります。目安としては、片側15度ほど。

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気になるのが角度の測り方です。いちいち分度器で正確に測ることは現実的ではない。そこで“小指”を使います。利き手とは逆の小指の第一関節くらいまでを包丁と砥石の間に挟みます。それが、およそ15度。研いでいる最中に角度が気になったときは、すぐに小指で確かめれば、ちょうどいい角度で作業できます。

力は入れずに利き手と逆の手は添える程度で滑らかに前後に動かします。あごの近く、刃中、切っ先の順に研ぐ部分を変えつつ、砥石を縦方向いっぱいに使い、大きく研いでいくのがコツです。力を入れる必要はなし! リズムをつかむと何だか気持ちよくも思えてきました。 

研いでいる途中に石が乾いてきたなと思ったら、少しだけ水を垂らします。ここで大切なのは「少しだけ」ということ。研ぐ中で出てくる泥のような水は、削り落とした鋼材の粉末や砥石が削れたもので、滑らかに研ぐ助けをしてくれる大切なもののため流さないように注意してください。

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「どのくらいの時間研いでいればいいのか」「何回くらい研ぐのか」が気になるところ。答えは、時間や回数ではなく「まくれ」です。

手順3:まくれを取る

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まくれとは、刃先を手で触るとわかる引っかかりのようなもの。峰(包丁の背中部分)から刃先に向かってなでるように触れるとわかる、髪の毛1本程度の引っかかりのことで、“バリ”や“刃返り”などとも呼ばれています。

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間違ってはいけないのが「峰(背中)側から刃先へ」ゆっくり指を滑らせること。刃先に沿ってなでることは大変危険ですので、なで方には充分注意してください! 

まくれが出て初めて「研げた=刃が付いた」と言えます。実際触ってみると、確かに髪の毛1本分ほどの感触を指に感じ、わかる! と実感。包丁研ぎの楽しさが徐々に増してきました。

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重要なのは、時間や回数ではなく、まくれが出るまで研ぐこと。刃先全体にまくれ(バリ、刃返り)が出たところで、反対側も同じ様に研ぎます。持ち方は先ほどの人差し指と親指を反対にして、人差し指をあごの近くに、親指を峰側にして同じ要領で研いでいきます。

片側だけだと、食材が曲がって切れるなど偏りが出てしまったり包丁の構造によっては、全く切れなくなってしまう場合もあるので、バランスよく両刃を研ぐのがポイントです。

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こちらも同じように小指を挟みつつ角度を確認し、砥石の全体を使って大きく滑らかに研いでいきます。 

ここで問題なのが、ななめに構えているため、あごの部分で口金が砥石にぶつかり研げなくなる部分が出てきます。これは、包丁を砥石に直角に構えて、あごが砥石に収まるように真横にしてあご部分を研ぐことで解決です。

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この角度で研ぐとブレやすいので、ていねいに慎重に仕上げていきます。少しゆすいで、再びまくれをなでて確かめて(注意:なで方は峰側から刃先へ!)、研ぎは完了です!

刃先をつぶさないように、新聞紙でまくれを取る

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完了した時点では、両側に刃が付いた状態で、片側にまくれが出ている形です。このまま使用すると、食材にまくれが混じってしまうため、まくれを取っていきます。

まくれを砥石で取る方法もありますが、初心者には刃先をつぶしてしまう可能性が高いため、新聞紙(画像は無地の新聞紙を使用)やジーンズ生地などでまくれを取ります。 

せっかく出た刃先をつぶさないように、まくれを取るときも研ぐときと同じように15度程度の角度を取り「こすって反対側に折り曲げる」を両刃に繰り返します。 

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やりすぎないように、少しこすっては折り曲げて確認することを繰り返し、まくれがなくなれば完成です。このときには、切れ味抜群の包丁に生まれ変わっているのです!

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試しに食材を切り、もし切れ味が悪かった場合はまくれが残っている可能性があるため、もう一度新聞紙でまくれを取る手順に戻ります。このときはトマトで試したのですが、力を入れなくても気持ちいいほど刃がスーっと入りました。驚くほどの切れ味に、これは包丁研ぎにハマりそうな予感です!

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しかし、包丁研ぎはここで終わりではありません……。

手順4:砥石の表面をリセット

包丁を研いだ後は、砥石のメンテナンスです。冒頭で、包丁研ぎは「ブレずに研ぐことが最も大切」とお伝えしましたが、これは全て「砥石の表面が平らである」ということが前提のお話。包丁を研いだ後は、砥石の表面を平らにする「面直し」が重要になります。

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包丁を研ぐと砥粒という泥のような水が出ますが、これには砥石が脱落しているものも含まれています。実際に研いだ後に鉛筆で線を引き、少し面直し用砥石で表面を削ると、へこんでいる部分にだけ鉛筆の線が残ります。これを目安に、最初に砥石と一緒に水に浸しておいた面直し用の砥石で、線が全て消えるまで削り、乾燥させれば包丁研ぎは終了です。 

砥石がへこんだままで包丁を研ぐということは、研ぐ角度や構え方にどんなに気を付けていても残念ながら意味のないこと。包丁を研いだ後は、しっかりと砥石の研ぎ面をリセットすることが大切なのですね。

実際に包丁を研いでみると、慎重に行う必要や注意する点はもちろんありますが、それが逆に集中力と緊張感を与えてくれ、やり終わったときには気分がスッキリ! 普段使いにはシャープナーなどの簡易包丁研ぎを使ってもいいかもしれませんが、定期的に砥石を使って研ぐことで、包丁を大切に、より長持ちさせることができそうです。


協力/貝印 https://www.kai-group.com/
取材・文/木村一実

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