微笑みうつって何? こんなタイプの人は要注意!【最新号からちょっと見せ】
人前ではいつも笑顔でいるけれど、ひとりになると落ち込んでしまう……。それは、もしかしたら「微笑みうつ」かもしれません。kodomoe10月号では、周囲からだけでなく自分でも気づきにくい「微笑みうつ」のサインや、日頃からできることをご紹介します。ウェブでは、精神科の先生に伺った「微笑みうつ」の特徴と注意すべきタイプについてお伝えします。
微笑みうつって何?
落ち込んでいても、周囲からはわからない「微笑みうつ」。自分でも気づかないうちに進行することがあるようです。その特徴と、注意すべきタイプについて精神科の先生に伺いました。
家族にも気づかれないまま
うつ状態が進行することも
「うつ病」と聞くと、表情が暗く、つらく苦しそう、という一般的なイメージがありますが、一見うつ状態には見えない「微笑みうつ」という症状があります。
「うつ病は、落ち込みなどのうつ症状が続く脳の不調です。『微笑みうつ』は正式な医学用語ではなく、俗称なのですが、内側に『うつ病』の症状を抱えながら、人前では明るく振る舞うため、ひとりになると激しい倦怠感や気分の落ち込みなどのうつ症状が出てしまう状態です。意識的に笑顔を作っている方もいれば、無意識に人前では笑顔になってしまう、という方もいて、周囲の人からはうつであることが気づかれにくく、そのために、理解もされにくい、という特徴があります」(春日先生)
自分でも「笑えているからまだ大丈夫」と無理を続け、周囲からも「笑顔だから大丈夫」と扱われることでストレスがかかり、気が付いたときにはうつ状態に進行していることが。例えば、いいお母さんと思われたい、家族の前では笑顔でいなくてはいけない、というプレッシャーや、夫婦の関係性から家族の前でも本当の気持ちを見せられないことで、落ち込みが深刻化してしまうケースも。
「つらいけれどそれを見せないことで、『本来のストレス』に加えて『取りつくろうストレス』という負担もかかり、うつ症状が悪化する場合があるので、注意が必要です」
微笑みうつの特徴
1、他の人からわかりにくい
つらい感情を隠して人前では微笑んでいるので、周囲から気づかれにくい。一般的な「うつ病」のイメージと違うので理解されにくい。
2、自覚しにくい
無意識に微笑んでいる場合があるので、自分でも自分の感情に気付きにくい。笑えているから大丈夫、と思いやすい。
3、症状が進行しやすい
自分のつらさに気付きにくく、無理に微笑むことでストレスがかかり、さらに発見が遅れやすいので、病状が進行しやすい。
こんなタイプの人は要注意!
・悩みを人に言わない
人に気をつかったり、他人からの評価が気になるなど、悩みを口にできないタイプの人は、つらい感情を抑え込んでしまいがち。
・明るく振る舞うタイプ
人前で明るく見せることが習慣になっている、また、笑顔でいなければいけないと思い込んでいる人は、精神的につらくてもなかなか笑顔の仮面が外せません。
・活発で行動的な人
活発なタイプの人は仕事や人間関係ではうまくいった経験が多く、「子育て」という、自分でコントロールできない状況の中で、うつ状態になることがあるようです。
教えてくれたのは
春日雄一郎先生
かすがゆういちろう/府中こころ診療所理事長・院長。精神科医(精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医)。YouTube「こころ診療所チャンネル」でも、こころの不調を改善できるヒントを発信している。
マンガ・イラスト/ひえじまゆりこ(kodomoe2024年10月号掲載)