赤ちゃんがぐずって寝ない理由は? 寝る子は育つは本当です!「眠育レッスン」【眠育レッスン Vo.1】
しっかり寝てほしいのに、なかなか思い通りにならない子どもの睡眠。でも、上手に眠れるようになるにはトレーニングが必要。今一度「睡眠」についてお勉強しましょう!
睡眠の大切な役割
その1 脳を作り、育てる
睡眠には、脳を作り、育て、修復する役割があります。睡眠の前半の「深い眠り」では記憶が作られ、後半の「浅い眠り」で運動能力など脳の機能が発達。また、学習意欲や学力にも大きく関係することがわかっています。
その2 体を大きく、丈夫にする
睡眠は体を休ませるためだけではなく体の成長にも必要です。骨を強くしたり皮膚の修復を助ける成長ホルモンは、深い眠りのときに多く分泌されます。寝入り端からしっかり深く眠ることは、子どもの成長にとって、とても大切なことなのです。
その3 強くやさしい心を育てる
心の安定に深く関わる脳内神経伝達物質のセロトニンは、朝起きるときに分泌されます。セロトニンの働きで、イライラやイヤな気持ちが和らぎ、前向きな気持ちがアップ。セロトニンがしっかり出ると夜の寝つきがよくなるといううれしい相乗効果も。
赤ちゃんは睡眠初心者
まだ上手に眠れません
天使のような寝顔にうっとりしながら、「たくさん寝て、すくすく育ってね」と願うママたち。
でも実際は、夜泣きをする、寝つきが悪いなど、子どもは思うようには寝てくれません。眠くてぐずる子どもに、「眠いなら寝ればいいのに……」と、ついイライラしてしまうことも。
「もともと眠りは、動物にとっては不安であり恐怖を伴うもの。特に、赤ちゃんはたくさん眠らなくてはいけないけれど、眠るのが好きではありません。しかも、まだ大人のように上手に眠ることができないんです」
そう話すのは、子どもの眠りに詳しい夜泣き専門保育士の清水悦子さん。
「眠りは、レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)を1セットにして、これを一晩のうちに何回も繰り返します。このセットを睡眠サイクルと言いますが、赤ちゃんは睡眠サイクルが大人に比べて短く、全体的に眠りが浅いので、いつでも起きやすい状態と言えます。また、浅い眠りと深い眠りの移行もスムーズにできません。たまに、寝起きでワーッと泣き出してしまうことがありますが、あれも眠りの切り替えがうまくいかず、深い眠りから突然目が覚めたことで状況が把握できず、混乱してしまっているのです」
大人と同じ睡眠サイクルで眠れるようになるのは、5歳頃になってから。それまでは不安定な睡眠だと言います。
子どもの健やかな成長のため、そしてママの睡眠不足解消のためにも、質のよい睡眠をとってほしい。そのためには一体どうすればいいのでしょうか?
「大切なのは、毎日の生活リズムを整えてあげること。 2歳までの睡眠習慣が生涯に渡って影響するとも言われるので、“何時に寝て何時に起きる”といった、赤ちゃんの頃からの習慣づけが質のよい睡眠につながります。どの赤ちゃんも年齢とともに自然と上手に眠れるようになるので、寝かしつけに手間をかける必要はありません。 なかには“赤ちゃんを縦抱きにして一定のリズムでしばらく揺らさないと寝てくれない”と頑張るママもいますが、手のかかる寝かしつけが習慣になると、赤ちゃんの頃は夜泣きの原因になり、2歳前後からは寝つきの悪さにつながる可能性が。寝かしつけに手間をかけるほど、あとでママ自身が苦しくなる場合もあるので気をつけましょう。ママの役目は、生活リズムを整え、安心して眠れる環境を用意すること。あとは子ども自身の眠る力を信じて、見守ってあげましょう」
教えてくれたのは
清水悦子さん
しみずえつこ/夜泣き専門保育士として、生活リズムを主体とした夜泣き改善法を提案。女の子ママ。著書に『赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド』(かんき出版)。
イラスト/ぱんとたまねぎ(kodomoe2019年2月号掲載)