かけっこが速くなる「ポン・ピュン走法」って?【陸上指導のスペシャリスト伝授・1】
もうすぐやってくる運動会シーズン。かけっこで速く走れたら、きっと子どもは自信がつくはず!
今回は、陸上指導のスペシャリストが親子で楽しみながらできる俊足レッスンを伝授します。
走る練習を通して
がんばる力が身につく
速く走れるのは生まれ持った才能、と思っている人も多いのでは?
「いいえ、最適な走り方ができれば、誰でも俊足になれます。」と話すのは、『マンガ 足が速くなる! ポンピュン走法』の著者で陸上競技部の監督などをつとめる川本和久先生。
「足が速い子と遅い子の違いは、“足を速く動かす感覚”を知っているかどうか。その感覚を知り、何度も反復練習すれば、自分のものにできるのです。私が考案した『ポン・ピュン』走法で、ぜひその感覚を身につけてください。そして、大事なことは結果そのものよりも、そこにいくまでの努力。それが心と体をはぐくむのに大いに役立つはずです」
どんな子でも速く走れる!
「ポン・ピュン走法」
足の速さは、歩幅と脚の回転数で決まります。地面を足で押す反発力=ポン、前に飛び出す力=ピュン。この2つを意識した「ポン・ピュン走法」は、足の回転を速くして歩幅を広げるので、飛ぶように速く走れるのです。
「ポン」と「ピュン」を意識するのがポイント!
地面に大きな力を加えると、その力の分だけ逆方向に跳ね返る。その反発力を大きくすることがポイント!
「ポン」で得た力をバネに、前に飛び出す推進力が「ピュン」。足の回転を速くして、ぐいぐい前に進もう!
ポン・ピュン走法の前に…
走るときの基本の「き」
小さな子の場合、足の動かし方の前に大事なことがあります。
速く走るための、基本ポイントを確認しましょう。
1. まっすぐ前を見て走ろう
足が遅い子は、意外と前を見て走っていない場合が多いもの。よそ見したり下を向いたり、これでは最短距離を走れません。当たり前のようですが、まず前を見て走ることを意識させて。
2. 腕をしっかり振って走ろう
腕の振りは推進力を高めるのに重要。腕を体の横で左右に振ったり、下げたままでは推進力にならないので、腕を前後に大きく振ることを教えてあげて。それだけでもスピードが変わってきます。
3. 走りやすいフォームでOK!
速く走れる理想的なフォームは確かにありますが、これは小学生以降でも十分。幼児はより自然な動きのほうが力を発揮しやすいので、子どもが走りやすいフォームでOKです。
教えて! 川本先生
子どもを"その気"にさせるには?
親子で一緒に練習することで、子どもの心も育ちます。
目標に向けてがんばれるように、親ができることとは何でしょう? 川本先生に聞いてみました。
Q1 子どもに声をかけても、練習したがりません
A 楽しくできる遊びの延長でやってみて
「子どもに限らず、人は楽しいことはやるし、嫌いなことはやらない。シンプルです。スキンシップを取りながら、ゲーム感覚で練習する楽しさを味わわせてあげたら、おもしろくなって自分からやる、と言い出すかも」
Q2 親が脚が遅いので、子どもに教えられません……
A 遺伝は関係ありません! 正しく教えれば誰でも速く走れるように
「遺伝が関係してくるのは、それこそ世界記録レベルの話。子どものうちは地面をポンと蹴ってピュンと前に進む、このための練習を一緒にやってあげるだけでよく、親の運動能力は関係ありません。親と一緒に練習する楽しさから、子どもは走ることが好きになって、自分で練習するようにも」
Q3「できない」といじけてしまったとき、どう声をかければいいですか?
A できることだけやらせればOKです
「いじけてしまう子には、できることだけやらせればOK。幼児のうちは実際のレベルアップよりも、やる気をはぐくむことが大事。1つできたら少しだけハードルを上げる、というのを繰り返す。その成功体験の積み重ねが、やる気を起こさせます」
川本和久先生
かわもとかずひさ/福島大学陸上競技部、福島大学トラッククラブ、東邦銀行陸上競技部監督。どうしたら早く走れるかを日夜研究中。最新著書は「マンガ 足が速くなる! ポンピュン走法」(マキノ出版)。
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イラスト/柴田ケイコ
(kodomoe2017年10月号掲載)