
脳を育てる順番が大事!? 感情のままに泣くことで育つ「3つの脳」とは【最新号からちょっと見せ】
「子どもだもの、泣くのは当たり前」と頭では分かっていても、実際は泣き声に神経を削られるし、周りの目も気になる……。
なんで泣くの? 落ち着かせ方は? 泣くことと発達の関係が分かると、ちょっと冷静に対応できるかも。
子どもの「泣く」は年齢によって変わります。生理的な欲求を訴える、気持ちを言葉にできなくて泣くなど、発達の段階ごとの「泣く」行動の意味を知っておきましょう。
5~6歳までは原始人!
感情を出せることがとても大事です
私たちの脳は層に分かれています。脳の中心には呼吸や体温調節など生命の維持に欠かせない機能を担う「からだの脳」、その外側には記憶や思考、細かい運動を担う「おりこうさんの脳」が。そして、想像力を働かせたりする、いゆわる「人間らしさ」の部分を担う「こころの脳」が前頭葉にあります。5〜6歳くらいまでは脳の土台である「からだの脳」と「おりこうさんの脳」が発達していく時期であり、この時期の子どもは言わば『原始人』。泣いたり笑ったり感情を出すことは、脳の土台づくりに大切です。
感情のままに泣くことで
3つの脳がきちんと育つ
脳が育っていく順序は、まず「からだの脳」、次に「おりこうさんの脳」、その次に「こころの脳」。この順番は誰もが同じで決して変わることはありません。泣かない=いい子として、「からだの脳」が十分に育つ前に「おりこうさんの脳」や「こころの脳」が育ってしまうと、脳の成長がアンバランスに。これは基礎や1階が不安定なのに2階建ての家を建てるようなもの。脳は育てる順番が大事なのです。
教えてくれたのは
成田奈緒子さん
なりたなおこ/小児科医、医学博士。文教大学教育学部教授。脳科学、発達心理学などの観点から子育てをサポートする「子育て科学アクシス」主宰。子育て関連の著書多数。
イラスト/matsu(kodomoe2025年6月号掲載)