小学校の教材になった、ひろたあきらさんの「お絵かき生きもの図鑑」。担任の先生にインタビュー!
2021年5月13日

小学校の教材になった、ひろたあきらさんの「お絵かき生きもの図鑑」。担任の先生にインタビュー!

昨年秋にスタート、不思議な生きもののお題に対して、お絵かきをした作品を応募していただく連載「絵本芸人ひろたあきらの お絵かき生きもの図鑑」。「ピカピカムシ」の回で80枚以上の絵を送ってくれたのが、東京学芸大学附属竹早小学校の子どもたちです。担任の曽根朋之先生は、「ピカピカムシ」を題材に、図工や算数、理科の授業にまで発展させていったといいます。どんなふうに授業展開されていったのか、お話をお聞きしました。

「ピカピカムシ」の応募作品発表はこちらで見られます

曽根朋之(そね・ともゆき)先生
神奈川県生まれ。横浜国立大学教育人間科学部を卒業後、川崎市の公立小学校に勤務。2018年より現職である東京学芸大学附属竹早小学校に着任。日本国語教育学会、創造国語に所属。読解から読書へとつなげる授業作り、物語の創作文など実践を通して研究をしている。『板書で見る全単元の授業のすべて 国語 小学校3年上・下』(東洋館出版社)、『指導と評価』(図書文化)、『教育科学 国語教育』(明治図書)などに原稿執筆。

――まずは、どうしてこの「お絵かき生きもの図鑑」を、授業に取り入れようと思ったのですか?

曽根先生(以下、曽根):普段から、絵本など教科書以外のものもテキストにして、授業を組み立ててています。今回教材を探している中で、『kodomoe web』でお絵かき生きもの図鑑を募集しているのを見たとき、これは絶対子どもたちが意欲的に取り組みたくなる! と思って、取り入れることにしました。
 ひろたさんの絵本を読み聞かせしたあと、ひろたさん自身が「『ピカピカムシ』と聞いて思い浮かんだ絵を描いて、応募してくださーい!」と語りかける動画を子どもたちに見せたら、みんな「やりたい!」と乗り気になってくれました。
 1枚描いてみて、自分以外の子どもの作品を見ると「これもおもしろいな」と新しい発想が生まれます。ひとり何枚でも描いていいよと言うと、視点を変えて描いてみたり、自宅に持ち帰って仕上げてくる子もいました。

最終的に80枚を越えるピカピカムシの作品が! 応募作品を受け取ったkodomoe編集部では驚きの歓声があがりました。

曽根:「ピカピカムシ」と一言でいっても、カブトムシだったり、チョウだったり、子どもはこういうものを発想するんだな、という発見がありました。中には「これムシ? カエルじゃない?」と思うようなものもあるのですが、2枚目に入ってくるとみんな自由度が増して、ムシじゃないものを描いたりするんです。ピカピカという光るイメージも、虹色系の子もいれば、ムシのまわりだけが光るように色合いを工夫する子もいました。

――描いた作品を応募することについて、子どもたちの反応はいかがでしたか?

曽根:子どもたちは、自分の絵が選ばれるはず、と思っています。ちょっと大げさかもしれないですけど、受賞するということは自分の世界が変わるというか、自分のしたことでまわりが動いていくという実感につながるだろうなと感じます。おうちの方には、「どういう結果になってもフォローしてあげてください」 とお伝えしています。
 自分以外の誰かが選ばれるということは、他の場面でもあることです。「こんなふうにくわしく丁寧に描いた方が選ばれやすいのかもしれないね」というふうに声をかけて、自分の熱意だけでなく、周りから見たらどう見えるのかということを、学ばせるきっかけにもなるのかなと思っています。もちろん、あまり周りの評価を気にしすぎるのもよくないですけどね。

――「ピカピカムシ」が、さらに図工の授業としても発展したと聞きました。

曽根:そうですね。「ピカピカムシ」というのはテーマが良くて、ピカピカを表現するのに子どもたちはいろんなクレヨンを使ってくれるんです。カラフルに塗りたいと思えば、自分で色の使い方を考えます。最初は失敗して当たり前なので、画用紙をいっぱい用意しておいて、試していいから塗ってごらんと促しました。クレヨンだけじゃなく、ペンや色鉛筆を使ってもいいんです。思った通りに塗れなかったとき、それを活かして学んでいきます。

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