『やっこさんのけんか』【今日の絵本だより 第251回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『やっこさんのけんか』
殿内真帆/作・絵 フレーベル館 1540円
11月11日は、おりがみの日。
数字の「1」を正方形の一辺と見立て、1が4つで正方形のおりがみの4辺を表すことから、日本折紙協会が1980年、この日を「おりがみの日」に制定しました。
『やっこさんのけんか』は、みんな知ってるおりがみのあの「やっこさん」が主人公の絵本です。
赤、青、黒、黄色、緑。
5枚の折り紙から生まれた、5人のやっこさん。
どれが一番よくできたかな?
「ぼくだよ!
みて、この つんと とんがった あたま。」
と、赤のやっこさん。
「いや ぼくだよ!
みて、この すっと とおった はなすじ。」
と、黒のやっこさん。
他の3人も
「ぼくだよ!」
「ぼくだよ!」
と譲りません。
それならば、ひとつ勝負。
やっこさんをおすもうさんに変身させて、とんとんずもうで
「はっけよい! のこった!」
でもあらら、みんなひっくりかえって、おあいこに。
それなら今度は、おすもうさんからひこうきに変身だ。
誰が一番遠くへ飛べるか、いざ勝負!
ひこうきからふね、ふねからかざぐるま。
なかなかつかない勝負をめぐって、やっこさんはどんどん変身していきます。
どれも大人には懐かしい、昔ながらの伝統折り紙。
見返しにはやっこさんからかざぐるままで、すべての折り方が載っているので、実際に一緒に折りながらお話を楽しめます。
さてさて、勝負の行方はいかに?
「なーるほど!」のラストを、ぜひ絵本でご覧くださいね。
モダンさと懐かしさ、ワクワクと安心、お話を読むだけでなくクラフト要素も楽しめる、魅力がつまった一冊です。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。