『しょうぎ はじめました』【今日の絵本だより 第87回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『しょうぎ はじめました』
間部香代/文 田中六大/絵 文研出版 本体1400円+税
11月17日は、将棋の日。
最近、何かと話題の将棋界。
「うちの子にも将棋、どうかな?」と、気になっているママも多いのではないでしょうか。
『しょうぎ はじめました』は、そんな将棋ビギナー&予備軍の親子に、ちょうどぴったりの一冊です。
学童保育で、将棋を覚えたぼく。
初対戦は上級生が相手で、あっという間に負け。
家ではパパが相手で、やっぱりぼくが負け。
強い駒の飛車と角をパパが使わなくても、ぼくが負けてしまう。
くやしいぼくは、将棋が強いじいちゃんに、夏休みに直々に教えてもらうことにしました。
さあ、じいちゃんの家で、二泊三日の将棋修行です。
この絵本のいいところは、お話だけでもハウツーだけでもなく、それぞれがほどよくミックスされているところ。
さらにわくわくするのは、読んですぐに、絵本を使って将棋が試せるところ。
前見返しには駒の動き方、後ろ見返しには主なルールを掲載。
カバーをはずした裏表紙には将棋盤、カバーそのものの裏表紙には、駒がならんだ将棋盤の絵。
カラーコピーして駒を切り抜き、駒の裏に必要な字を書き込めば、その場で紙の将棋が試せるようになっています。
お話の中に出てくる、飛車と角だけで王を取る練習や、基本の棒銀戦法。
おじいちゃんとぼくが指している通りに真似して試すことができるので、将棋セットを買う前に、まず将棋の雰囲気を知ることができますよ。
なんとなく難しそうなイメージのある将棋ですが、その一番最初のハードルを、ぐっと下げてくれるこの絵本。
なにしろ、将棋の駒そっくりの顔をしたおじいちゃんが、とてもいい味なのです。
ひょうひょうとしているようで、胸にぐっとくる言葉もつぶやきますよ。
(着ている将棋Tシャツにも注目!)
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。