ママの涙にまつわるフシギ
性格が変わったのか、体質が変わったのか……? 出産を経ると涙もろくなるのには理由がありました。涙のメカニズムから効果まで、“ママ泣き”のギモンを解明します。(kodomoe2016年6月号掲載)
イラスト/macco
どうしてママは涙もろいの?
赤ちゃんにつねに共感する
「ママ脳」が涙を流させる!
「涙には、目の表面を水分で保護する『基礎分泌の涙』、ごみなど異物を洗い流す『反射の涙』、悲しいときや感動したときに流す『情動の涙』の3つがありますが、ママの涙は3つ目の『情動の涙』です」と、涙や泣きのメカニズムに詳しい有田秀穂先生。
「情動の涙は、脳の前頭前野にある通称『共感脳』と呼ばれる部分が興奮することで流れるしくみ。赤ちゃんをつねに見守り、密着して世話をしているママは、赤ちゃんに絶えず共感している状態。共感脳が活発になっていて、刺激を受けやすい状態なのです。そのため、子どもに関連する事柄を見聞きすると、刺激を受け、すぐに涙が出るのです」
泣く=恥ずかしいというイメージを持つ人も多いですが、泣くことは心身の健康にとてもいい影響があるそう。
「涙は、交感神経から副交感神経に切り替わるスイッチ。涙が流れると副交感神経が優位になり、脳全体がリラックスして脳のストレスが解消されます。ストレス解消は心の問題だけでなく、血圧の安定や免疫力の向上など、体にもプラスの効果が。元気にハツラツと子育てするには、大いに泣いていいんです」
涙が出るメカニズム
ママが流すのは「情動の涙」。大脳の前部に位置する前頭前野=別名「共感脳」が興奮すると、「帯状回」という部分を通り、副交感神経の起点である「唾液核」に信号が送られ、そこから副交感神経を通じて涙腺に「涙を出せ」と指令を送り、涙が流れるしくみ。
ママの涙がもたらす“イイこと”
教えてくれた人
有田秀穂先生
ありたひでほ/東邦大学医学部名誉教授。脳神経に詳しく、神経伝達物質「セロトニン」研究の第一人者。著書に『脳からストレスを消す技術』(サンマーク出版)などがある。