連載【第46回】今日の絵本だより『ようちえんいやや』
2019年4月21日

連載【第46回】今日の絵本だより『ようちえんいやや』

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kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『ようちえんいやや』
長谷川義史/作・絵 童心社 本体1300円+税

そろそろ4月も終盤。
新入園、新入学のご家族は、新しい生活のリズムにも慣れてきた頃でしょうか。
……なんて、なかなかそんなふうにスムーズにはいかないですよね。
まさにこの表紙のように、毎朝登園前に泣いているお子さんもいるのではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、『ようちえんいやや』です。

たけしくんが泣いています。
トイレに座って泣いています。
「ようちえん いくの いやや
 ようちえん いくの いやや
 ようちえん いくの いややー」
……どうして、いやなんでしょう?

「えんちょう せんせいに
 おはようの あいさつ
 するのが いややー」

まなちゃんも、ふとんの中で泣いています。
「ようちえん いくの いやや
 ようちえん いくの いやや
 ようちえん いくの いややー」
まなちゃんは、何がいやなんでしょう?

「いちごが すきやのに
 ももぐみやから いややー」

なるほど、とうなずくものや、えっ、それが? と意外な理由まで。
とにもかくにも、みんなみーんな、泣いています。
「ようちえん いくの いやや
 ようちえん いくの いやや
 ようちえん いくの いややー」
の大合唱。
でも、心の中では誰もが同じ。
一番ほんとの、理由はね……。

ああ、そうなんだ。
子どもの本音の言葉に、ママも思わず泣き笑い。
この絵本を読んでいるのといないのとでは、送り出す側の親の心も、ずいぶん違うのではないでしょうか。
明日もまた泣いちゃうかもしれないけれど、「泣いていいよ」と思えるかも。
「しょうがないよね」と笑えるかも。
目の前の「困った」の奥に、本当は何があるのか。
子どもの心との向き合い方を、気づかせてくれる一冊でもあります。

表紙を開いた最初の見返しはたくさんの泣き顔、終わりの見返しは、みーんな笑い顔。
身も世もなく泣いていても、しばらくすればそんなこと忘れたように笑える強さも、子どもはちゃんと持っている。
園庭で遊ぶみんなのラストシーンは、泣き顔で見送ったうちの子が、コロッと元気になっている様子をのぞいたようで、ホッと一安心します。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

 

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