2019年1月28日

『おふくさん』【今日の絵本だより 第30回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『おふくさん』
服部美法/文・絵 大日本図書 本体1300円+税

1月も終盤、もうすぐ節分ですね。
今回は、怖~い鬼も愉快に一本取られてしまう、『おふくさん』をご紹介します。

表紙から福笑いで笑顔がはじけている、おふくさんたちは全部で10人。
山の奥深くのおうちで、毎日にこにこ、仲よく暮らしています。
ところがある日、いきなり赤鬼がガラッと戸を開けました。
「やい、おふくども!
いまから おまえたちを こわがらせてやるぞ。
かくごしろ!」
でも、おふくさんたちはへいきのへっちゃら。
「おやまあ、なんて こわいかお!」
「こわい かおは つまらない!
おにさん、いっしょに わらいましょ」

着せ替えごっこに、おいしい豆大福、おふくさんたちがあの手この手で笑わせようとしても、鬼は
「だめだ だめだ!」
と怒ってばかり。
「おにさん どうすりゃ わらうかな?」
おふくさんたちが、最後に試したとっておきの技は……。
これはぜひ、中を読んで確かめてくださいね。
さすがの鬼も、こらえにこらえたけれど、
「わっはっはっはっはー!」
と大笑い。
おふくさんたちといつも一緒のねこちゃんやわんちゃんにも、子どもはきっと興味津々のはず。
見返しも、裏表紙にも、見逃せないお楽しみがいっぱいです。

わたしは『おふくさん』をはじめて読んで、「ああ、これからずーっと笑って過ごそう」と思ってしまいました。
『いいからいいから』(長谷川義史/作 絵本館)同様に、日々の「イラッ」を祓うためのお守りとして、表紙を飾っておきたい絵本にランクイン。
最近どこかで「子どもがお母さんに望むのは、笑顔だけ」という言葉を聞いたばかりなので、なおさら胸にしみました。

次回も節分にちなんだ、楽しい一冊をご紹介します。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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