2018年12月28日

『くまのこのとしこし』【今日の絵本だより 第24回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、
ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめして
いきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

連載【第24回】今日の絵本だより『くまのこのとしこし』の画像1『くまのこのとしこし』
高橋和枝/作 講談社 本体1500円+税

いよいよ年の瀬。
今年最後の「今日の絵本だより」でご紹介する作品はこちら、
『くまのこのとしこし』です。

「もう すぐ ことしも おわりだね」
というおとうさんの言葉に、くまのこはびっくりします。
「ことしが おわるの?
 おわったら どう なるの?」
「ことしが おわったら、
 らいねんが くるのよ」
というおかあさんの言葉に、くまのこはまた驚きます。
「らいねん?」

くまのこには、来年がどんなものかわかりません。
「らいねん」のために家の中をきれいにすると聞き、
自分の部屋のふとんのしわをぴんとのばし、
おもちゃを箱にしまいます。
「らいねん」のためにおめでとうの年賀状を書くと知り、
輪飾りをつくり、画用紙に「おめでとう」と書いてみます。
「らいねん」のためのお買いもの、「らいねん」のための松飾りに、
おせち料理。
「おしょうがつって、らいねんの
 おたんじょうかいみたいだね」とくまのこはつぶやきます。

クリスマスやお正月よりはちょっぴり地味めな、年越し。
大人は大掃除や新年の準備にてんてこまいだけど、
子どもはちょっと手持ちぶさたで、でもなんだか特別な気配に、
自分も何かお手伝いしてみたくなったり、そわそわしたり。
そんな子どもの目から見た年越しの空気感が、くまのこ一家の様子から、
温かく伝わってきます。

いよいよ、大みそかの夜。
除夜の鐘が鳴って、くまのこはついに「らいねん」と初対面。
その感想は……。
ぜひ、絵本で見てみてくださいね。
そう、子どもって、そうだよね、そうだったなあ、と、しみじみします。
親子で読んだら、お子さんはきっと、くまのこに共感すると思います。

ちょうど現在、『くまのこのとしこし』の原画展が
静岡・三島の絵本専門店「えほんやさん」で1月28日(月)まで開催中です。
「えほんやさん」はコドモエのえほん『なきごえバス』『なきごえたくはいびん』でも
おなじみの絵本作家・えがしらみちこさんが、この10月にオープンした絵本店。
1月19日(土)には高橋和枝さんとえがしらみちこさんの
トークイベントもあります(要予約)。
詳しくはこちらをご覧ください。
http://tenkiame.com/ehonyasan/?p=711

それでは皆様、どうぞよいお年をお迎えください。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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