2018年11月28日

連載【第18回】今日の絵本だより『まよなかかいぎ』

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kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『まよなかかいぎ』
浜田桂子/作 理論社 本体1380円+税

11月29日は、「いい文具の日」。
昨年認定されたばかりの記念日で、今年がはじめてなんだそうです。
『まよなかかいぎ』は「いい文具の日」にぴったりの、文房具たちの絵本です。

おつきさまがきれいな真夜中、ぐっすり眠っているゆうきくんの部屋。
青いランドセルがパランと開き、中から鉛筆やノートやクレヨンたちが出てきて、
輪になって並びます。
赤鉛筆が言います。
「これから、まよなかかいぎを はじめます。」
文房具たちが、今日のゆうきくんの学校での様子を、順番に話すのです。

真っ先に手をあげた鉛筆が、ゆうきくんがきちんと鉛筆を持って
しっかりした字を書いたと、誇らしげに語ります。
消しゴムは、間違った字をきれいに消しゴムで消したことと、
おとなりのもえかちゃんの消しゴムも使ったことを報告します。
カスタネットは、涙をこぼしながら話します。
「きょう、ゆうきくんは、リズムに ぴったり あわせて、
それは すてきに わたしを たたいたんです。」
「あごで たたいたり
あしで たたいたり
おどりながら めちゃくちゃに たたいたり
……
しなかったんです!」
今までの苦労を思い、またうれし涙をこぼすカスタネット。
「よかった よかった」
みんなも喜びます。

ハンカチや定規は、いまだにゆうきくんに正しく使ってもらえないことを
嘆きますが、みんなはきっと今にできるようになるとなぐさめます。
そう、このお話は何がいいって、みんなでゆうきくんを見守っていることはもちろん、
ゆうきくんの小さな成長もしっかり見つけて、大喜びしているのが素敵なんです。
そして、今はできないことも、きっともうすぐできるはずと、
ゆうきくんの未来を信じている。
その温かい心持ちは、もしかしたら保護者よりも泰然としているかも……。

ゆうきくんが大きな音を立てて寝返りをうち、今日の会議は終わりになります。
赤鉛筆が早口でしめくくります。
「こんやは うれしい はなしを
たくさん ききました。
あしたも ゆうきくんを
おうえんしましょう。」
こんな文房具たちに毎日見守られていたら、心強いですね。

この連載では、よく「裏表紙をお見逃しなく」と言っていますが、
『まよなかかいぎ』でも、必ず見てくださいね。
とてもうれしいラストが、隠れていますよ。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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